2026年1月15日、あのみんな大好き「サイゼリヤ」の株価が歴史的な動きを見せました。
前日比で急伸し、一時 6,730円 を記録。株式分割考慮後の実質ベースで 上場来高値を更新 しました。
「なぜ今、サイゼリヤの株価がこれほど上がっているのか?」
「飲食業界は値上げラッシュで厳しいはずでは?」
そんな疑問を持つ方のために、今回の株価急騰のトリガーとなった2026年8月期第1四半期決算の内容を紐解きながら、サイゼリヤが「デフレの勝ち組」から「インフレ時代の高収益企業」へと進化した理由を解説します。

市場が驚いた「サプライズ決算」
株価急騰の直接的なきっかけは、前日(1月14日)に発表された決算発表でした。市場の予想を上回る二桁増収増益が、投資家の買いを呼び込みました。
- 株価終値: 6,440円(前日比 +440円 / +7.33%)
- 高値: 6,730円(上場来高値更新)
- 出来高: 前日の約2.4倍(商いが活発化)
この数字は、単なる一時的なブームではなく、サイゼリヤの稼ぐ力が構造的に変化したことを示唆しています。では、具体的に何が変わったのでしょうか?
国内事業の「覚醒」〜営業利益が約3倍に〜
今回の決算で最も注目すべきは、これまで苦戦が伝えられていた国内事業の劇的なV字回復です。
営業利益が前年比184.7%増の衝撃
国内事業の営業利益は、前年同期の約5.1億円から14.5億円へと、実に3倍近くに跳ね上がりました。

「値上げなし」が最強の武器に
競合他社が原材料高騰を受けて次々と値上げを行う中、サイゼリヤは主要メニューの価格を維持し続けています。
- 客数増: 「安くて美味しい」を求める層が他チェーンから流入(ブランドスイッチ)。
- 客単価アップ: 「安いからもう一品」という心理が働き、サイドメニューの注文が増加。
この「我慢の戦略」が、インフレ環境下で最大の差別化要因となり、圧倒的な集客力を生み出しました。
徹底した店舗DXとコスト削減
「価格を上げずに、どうやって利益を3倍にしたの?」という疑問への答えが、徹底した店舗オペレーションの改革です。
- QRコード注文の全店導入完了:2025年末までに導入が完了。これにより、ホールスタッフが注文を取る業務がほぼ消滅しました。
- 少人数運営の実現:スタッフが配膳や片付けに集中できる環境が整い、人件費を抑制しながらもサービスレベルを維持できています。
売上が伸びても固定費(人件費や家賃)があまり増えない「営業レバレッジ」が効いたことで、増えた売上の多くがそのまま利益になった形です。
アジア事業は「成長痛」による一時的足踏み
これまでサイゼリヤの成長エンジンだった中国などのアジア事業は、意外にも減益(営業利益 -6.1%)となりました。しかし、これはネガティブな要因ではありません。
- 売れすぎによる供給不足:人気が出すぎて自社工場の生産が追いつかず、コストの高い外部委託を使ったため利益率が下がりました。
- 需要は旺盛:売上自体は伸びており、生産体制さえ整えば再び利益拡大が見込めます。

市場はこれを「構造的な問題」ではなく、成長に伴う一時的な「成長痛」と冷静に判断しています。
投資家心理を掴んだ「自社株買い」と株主還元
決算と同時に発表された自社株買いも、株価を押し上げる要因となりました。
- 規模: 発行済株式数の0.4%(上限10億円)
- メッセージ: 即座に自社株買いを発表したことで、経営陣の「株価への自信」と「株主還元への意欲」が伝わりました。
これが投資家の安心感につながり、長期保有を検討する層へのアピールとなりました。
今後の見通しと「朝サイゼ」の可能性
今後の株価を占う上で注目したいのが、新たな収益源の開拓です。
- 上方修正の期待:第1四半期だけですでに上期目標の過半数を達成しており、今後の業績上方修正が濃厚視されています。
- 「朝サイゼ」の拡大:都内や千葉県の駅前店舗を中心に、朝食営業(7:00〜10:00)を拡大中。開店前のアイドルタイムを収益化することで、さらなる利益率向上が期待されます。
サイゼリヤは「安いだけ」の店から「高収益企業」へ
2026年1月15日の株価最高値更新は、サイゼリヤが以下の3点を証明した結果と言えます。

- 国内事業が完全に復活し、稼げる体質になったこと
- 「値上げなし」がインフレ下で最強の戦略であること
- DXによる効率化が利益に直結していること
モルガン・スタンレーMUFG証券などの大手証券会社も目標株価を引き上げており、サイゼリヤの成長ストーリーはまだ第2章に入ったばかりかもしれません。今後もその動向から目が離せません。
※本記事は情報の提供を目的としており、投資の勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。