2025年12月以降、武田薬品工業(4502)の株価が力強い上昇を見せています。
これまで「配当利回りは高いが、株価は上がらない」と言われ続けてきた武田薬品に、一体何が起きているのでしょうか?
そのきっかけは、大型化が期待される皮膚病(乾癬)の新薬候補「ザソシチニブ(TAK-279)」の臨床試験で、市場の予想を超える良好な結果が出たことです。
この記事では、今回のニュースがなぜ重要なのか、そしてライバルである中外製薬(4519)と比べて割安と言われる武田薬品の株価が今後どうなるのか、投資家目線で分かりやすく解説します。

なぜ今、武田薬品の株価が上がっているのか?
1. 「借金と特許切れ」の懸念が後退したから
武田薬品は2019年の巨額買収(Shire社)以降、多額の有利子負債と主力薬の特許切れ(パテントクリフ)への懸念から、投資家から敬遠されがちでした。

一方、競合の中外製薬は、独自の技術と高い利益率で「成長株」として人気を集め、株価指標(PER)でも武田を大きく引き離していました。
しかし、今回の新薬ニュースは、武田が「自力で成長できるフェーズに入った」ことを市場に印象づけました。
2. 期待の新薬「ザソシチニブ」が凄すぎた
2025年12月18日に発表された、乾癬(かんせん)治療薬「ザソシチニブ」の最終段階の治験(第3相試験)結果がサプライズでした。
- 飲み薬なのに効果が高い: 従来の「注射」による治療薬に匹敵する効果を確認。
- 症状が完全に消える: 患者の約30%で皮膚の症状が完全に消失(PASI 100達成)。
- ライバル薬を上回る可能性: 先行する米BMS社の薬「ソーティクツ」よりも高い改善効果を示唆するデータが出ました。
徹底解説:新薬「ザソシチニブ(TAK-279)」の何が画期的?

投資家が注目すべきポイントは、この薬が「ベスト・イン・クラス(同種の中で最強)」になる可能性が高いという点です。
飲み薬で「完全寛解」3割の衝撃
乾癬治療において、患者さんは「注射よりも飲み薬」を好む傾向にあります。しかし、これまでの飲み薬は効果が少し弱いのが難点でした。
今回のデータでは、飲み薬でありながら3割の患者さんで症状が完全に消えたという結果が出ており、これは市場の常識を覆すインパクトがあります。
競合薬「ソーティクツ」との比較
ライバルであるBMS社の「ソーティクツ」と比較しても、優位性が見えてきています。

| 項目 | 武田薬品(ザソシチニブ) | BMS社(ソーティクツ) |
|---|---|---|
| 90%改善した人の割合 | 50%超 | 約27%〜36% |
| 完全に治った人の割合 | 約30% | (上記より低い) |
| 服用の手軽さ | 1日1回(経口) | 1日1回(経口) |
※異なる試験データの比較ですが、武田薬品の優位性が意識されています。
市場規模は2030年までに約7500億円超とも言われており、武田薬品はこの薬だけで年間数千億円の売上(ピーク時売上高4500億〜9000億円予想)を狙える可能性があります。
中外製薬との比較で見る「株価の伸びしろ」
これまで国内製薬セクターでは「中外製薬の一人勝ち」状態でしたが、潮目が変わりつつあります。
割安なまま放置されていた武田薬品
中外製薬は「成長への期待」からPER(株価収益率)が30倍以上で買われていますが、武田薬品は10〜15倍程度と割安な水準に留め置かれていました。
- 中外製薬: 高成長・高PER(割高だが人気)
- 武田薬品: 低成長・低PER・高配当(割安だが不人気)
今回の新薬成功により、武田薬品も「成長企業」として再評価(リレーティング)され始めています。もし武田のPERが中外製薬の水準に近づいていけば、株価にはまだ大きな上昇余地があると言えます。
機関投資家の評価も「買い」へ
大手証券会社(野村、モルガン・スタンレーなど)も、相次いで武田薬品の目標株価を引き上げたり、投資判断を「買い」に変更したりしています。

理由はシンプルで、「配当狙いの株から、キャピタルゲイン(値上がり益)も狙える株に変わった」と判断したためです。
まとめ:2026年、武田薬品は投資対象として面白い?
ここまでのポイントをまとめます。
- 構造変化: 借金返済モードから、新薬による成長モードへ転換した。
- 新薬の強さ: 「ザソシチニブ」のデータは競合を圧倒する可能性があり、収益貢献が大きい。
- 割安感: 中外製薬などと比べて株価指標がまだ安く、見直し買いが入る余地がある。
- 高配当: 株価上昇を待ちながら、高い配当金(利回り約4%前後)を受け取れる安心感がある。
もちろん、FDA(米食品医薬品局)の承認がスムーズに進むかなどのリスクはありますが、2025年末からの上昇トレンドは、武田薬品の「復活」を予感させる重要な動きと言えるでしょう。

これからの株式市場では、「中外製薬 vs 武田薬品」の主役争いが再燃するかもしれません。
※本記事は情報の提供のみを目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。