最先端半導体の国産化を目指すラピダス(Rapidus)に対し、JX金属が50億円の出資を決定しました。かつての「鉱山・製錬」という看板から「半導体素材」へと舵を切った同社。東証プライム上場から丸1年を迎える今、その戦略的な一歩と市場からの熱烈な評価を詳しく解説します。
ラピダスへの50億円出資が持つ戦略的意義
JX金属によるラピダスへの50億円出資は、単なる資金支援に留まりません。これは、2ナノメートル(2nm)世代以降の最先端半導体製造において、日本の素材技術が世界標準を握るための戦略的な布石です。

同社は、半導体の配線形成に不可欠なスパッタリングターゲット材で世界シェア約6割を誇ります。ラピダスとの連携を深めることで、次世代プロセスの初期段階から自社製品を最適化させ、グローバル市場での競争力をさらに盤石なものにする狙いがあります。
上場1年で成し遂げた「半導体企業」への鮮やかな転身
ENEOSホールディングスからのスピンオフにより、2025年3月に上場を果たしたJX金属。この1年は、100年以上の歴史を持つ「鉱山・製錬」のイメージを払拭し、高付加価値素材メーカーとしての地位を確立する期間となりました。

上場当初は米国経済の不透明感もありましたが、同社は一貫して半導体材料への集中投資を継続。現在では、AIサーバー向けなどの最先端領域において、なくてはならないサプライヤーとしての存在感を強めています。
株価は最高値4,145円へ!市場が評価する成長シナリオ
2026年2月、JX金属の株価は4,145円の最高値を記録し、時価総額は3兆円の節目を突破しました。上場時の公募価格(820円)から比較すると、わずか1年足らずで4倍以上の水準にまで評価が高まったことになります。
この株価急騰の背景には、以下の要因があります。
- 生成AI需要の爆発的拡大: AIサーバーに不可欠な高純度ターゲット材や低粗度圧延銅箔の出荷が想定を大幅に上回りました。
- 業績予想の上方修正: 2026年3月期の営業利益予想を大幅に引き上げたことで、投資家の期待が確信に変わりました。
- 資本効率の改善: 資源事業の比率を下げ、利益率の高い電子材料事業へ資本を集中させる「選択と集中」が評価されています。
創業の地・茨城県から世界を支える「産業の循環」
JX金属の原点は、1905年に始まった茨城県の日立鉱山にあります。かつて鉱山が日本の近代化を支えたように、現在は日立市に建設された新工場が、世界の先端半導体産業を支える拠点へと進化しています。

日立市内の「日立北新工場」や「白銀地区」での増強投資は、総額300億円規模に達します。創業の地で培われた技術が、最先端の「ナノ」の世界で再び花開くという、まさに産業の再定義がこの地で行われているのです。
まとめ:次世代半導体エコシステムの核となるJX金属

ラピダスへの出資、株価の歴史的高値更新、そして創業の地での生産増強。これらすべての動きは、JX金属が「素材の力」で世界のデジタル変革を牽引する決意の表れです。
2027年のラピダス量産開始に向け、JX金属の役割は今後さらに重要性を増していくでしょう。投資家のみならず、日本の産業界全体が同社の次なる一手に注目しています。