【解説】日銀、ETF売却をついに開始!追加利上げは見送りもタカ派台頭で年内利上げは濃厚か?

【解説】日銀、ETF売却をついに開始!追加利上げは見送りもタカ派台頭で年内利上げは濃厚か?

2025年9月20日

2025年9月19日、日本銀行は金融政策決定会合で歴史的な一歩を踏み出しました。長年の異次元緩和の象徴であった上場投資信託(ETF)の売却開始を決定したのです。一方で、市場が注目していた追加利上げは見送られました。

今回の決定は、「慎重な正常化への第一歩」と「利上げに向けた地固め」という二つの側面を持つ重要な内容です。この記事では、今回の決定のポイントを3つに絞って分かりやすく解説します。

ポイント1:歴史的な転換!ETFの売却をついに開始

今回の会合で最も注目されたのが、日銀が保有するETFおよび不動産投資信託(J-REIT)の売却を開始するという決定です。

  • 売却ペース:年間でETFを約3300億円、J-REITを約50億円(いずれも簿価)
  • 目的:異次元緩和で膨れ上がったバランスシートの縮小(正常化)に向けた第一歩
  • 市場への影響:売却額は東証プライム市場の売買代金のわずか0.05%程度とされ、市場への直接的な影響は限定的とみられています。

これは、日銀が単なる買い支え役から退き、「出口戦略」を具体的に行動に移したことを示す象徴的な決定です。約14年間にわたるETF買い入れという異例の政策が、大きな転換点を迎えました。

ポイント2:追加利上げは見送り。ただし「7対2」の反対票に注目

政策金利については、市場の予想通り0.5%で据え置きとなりました。これは5会合連続の据え置きです。

日銀が利上げに慎重な理由は、米国の通商政策など海外経済の不透明感や、国内の賃金と物価の好循環が確固たるものになったかを見極めたいという姿勢にあります。

しかし、注目すべきは採決内容です。今回は「7対2」となり、2人の政策委員(田村直樹氏、高田創氏)が0.75%への利上げを主張して反対票を投じました。植田総裁体制下で、利上げを求める反対票が2票入ったのは初めてのことです。

ポイント3:「いつ利上げか?」が焦点に。タカ派の台頭で年内利上げの可能性高まる

この「7対2」という結果は、市場に大きなインパクトを与えました。単なる「利上げ見送り」ではなく、日銀内部で追加利上げを求める「タカ派」の声が強まっていることが明確になったからです。

この結果を受け、為替市場では円高が進行しました。市場は「次の利上げは遠くない」と織り込み始めています。

今後の焦点は、利上げが「あるかどうか」ではなく「いつになるか」に移りました。早ければ10月、あるいは12月の会合で追加利上げが実施されるとの見方が強まっています。

まとめ:今後の注目点

決定事項内容市場への示唆
ETF売却年間3300億円ペースで開始金融政策正常化への具体的な第一歩。
金利据え置き政策金利を0.5%で維持外部リスクを警戒し、当面は慎重姿勢。
7対2の採決2名の委員が利上げを主張し反対利上げ圧力の高まり。年内追加利上げの可能性大。

投資家や企業は、今後発表される日銀短観や消費者物価指数(CPI)、賃金データなどの経済指標を注視していく必要があります。日銀の金融政策は、大きな転換期に入ったと言えるでしょう。

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