UNICONホールディングスIPO初値予想!評価と分析~地方建設の未来を担う「連合軍」は買いか?~

UNICONホールディングスIPO初値予想!評価と分析~地方建設の未来を担う「連合軍」は買いか?~

2025年9月6日

2025年9月26日に東証スタンダード市場へ上場予定の「株式会社UNICONホールディングス(証券コード:407A)

今回は、日本の地方建設業界が抱える深刻な課題に立ち向かうユニークなビジネスモデルで注目のUNICONホールディングスのIPOについて、投資判断に役立つポイントを分かりやすく解説します。

「PEファンドの出口案件だから不安…」

「でも、配当利回り4%超えは魅力的!」

そんな風に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。

UNICONホールディングスとは? - 会社の3つの特徴

まず、UNICONホールディングスがどんな会社なのか、3つのポイントで見ていきましょう。

  1. 地方の有力ゼネコンの「連合軍」社名のUNICONは「UNIted CONstructors(建設業者連合)」の略。後継者不足や人手不足に悩む地方の建設会社をM&Aでグループ化し、各社が持つ人材や技術を共有することで、単独では受注できない大きな工事にも対応できる体制を築いています。
  2. 国の「国土強靭化」が強力な追い風頻発する自然災害やインフラ老朽化対策として、政府は長期的に大規模な公共投資を計画しています。同社の事業は橋や道路の補修、河川工事などが中心であり、この国家プロジェクトは安定した需要に直結します。
  3. 業界の課題をビジネスチャンスに建設業界は「2024年問題」による時間外労働規制や高齢化など、多くの課題を抱えています。しかし、これらの課題が中小建設会社の経営を圧迫するため、UNICONホールディングスのM&A戦略にとっては、むしろ成長のチャンスが広がるというユニークな立ち位置にいます。

UNICONホールディングス IPO基本情報

まずは、今回のIPOにおける基本情報を確認しましょう。

項目詳細
証券コード407A
上場市場東証スタンダード
上場日2025年9月26日(金)
想定発行価格1,060円
想定時価総額約105億円
公開規模約63.0億円(OA含む)
ブックビルディング期間2025年9月9日~9月16日
公開価格決定日2025年9月17日
購入申込期間2025年9月18日~9月24日
公募・売出公募:0株、売出:4,725,100株
主幹事証券野村證券
引受証券会社大和証券、楽天証券、SBI証券など

ポイント:今回は新規の資金調達がない「売出」のみのIPOです。筆頭株主であるPEファンド「エンデバー・ユナイテッド」が利益確定のために株式を放出する、いわゆる「出口(EXIT)案件」です。

業績と配当 - 安定成長と高い利回りが魅力

次に、業績の推移を見てみましょう。M&Aにより着実に事業規模を拡大しています。

会計年度売上収益営業利益1株当たり利益(EPS)
2024年6月期(実績)156億円11.4億円73.58円
2025年6月期(予想)176億円17.1億円113.23円
2026年6月期(予想)194億円16.8億円111.25円

注目すべきは高い配当利回り!

会社計画では、2025年6月期、2026年6月期ともに1株あたり45円の配当を予定しています。

想定発行価格1,060円で計算すると、配当利回りは約4.25%。これは高配当株として非常に魅力的な水準です。

IPO評価:UNICONホールディングスの強みと懸念点

ここまでの情報を基に、投資する上でのプラス材料とマイナス材料を整理します。

強み・プラス材料

  • 独自性の高いビジネスモデル:業界の構造問題を解決する「地域連合型」モデルで、他社にはない強みを確立。
  • 安定した需要:国の「国土強靭化」政策が事業を強力に後押し。景気に左右されにくい。
  • 割安な株価設定:予想PERは約9.4倍。建設業界の平均(14.0倍程度)と比較して割安感がある。
  • 高い配当利回り:約4.25%という利回りは、株価の下支え要因になり得る。

懸念点・マイナス材料

  • 典型的な「出口案件」:筆頭株主のPEファンドによる売却が目的のため、上場後の追加売却(オーバーハング)が懸念され、株価の上値が重くなる可能性がある。
  • 需給の緩み:約63億円という公開規模は大きく、「荷もたれ感」が意識されやすい。初値が上がりにくい要因となる。
  • 巨額の「のれん」:M&Aを重ねた結果、バランスシートに約180億円の「のれん(無形資産)」を計上。買収した子会社の業績が悪化した場合、減損損失として大きな赤字を計上するリスクがある。

まとめと初値予想

UNICONホールディングスは、「国土強靭化」という国策を追い風に、業界の課題を解決する社会的意義のあるビジネスモデルを展開しています。PERの割安感や高い配当利回りも魅力的です。

しかし、PEファンドの出口案件であることと、需給面の懸念は大きなマイナスポイントです。過去の例を見ても、このタイプのIPOは公募割れするケースも少なくありません。

以上の点から、総合的な評価は「中立」とします。

初値予想としては、需給の悪さから公募価格近辺(-5%~+10%程度)でのスタートを予想します。

短期的な利益を狙うのは難しいかもしれませんが、独自のビジネスモデルと高配当に魅力を感じるのであれば、上場後の株価が落ち着いたタイミングで、長期的な視点での投資を検討するのは面白いかもしれません。

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