2024年12月12日、女性専用パーソナルジム「UNDEUX SUPERBODY」を運営す*株式会社フィットクルー(証券コード:469A)が東証グロース市場に新規上場(IPO)します。
この記事では、フィットクルーのIPOに申し込むべきか、初値はどうなるのか、強みとリスクを分かりやすく解説します。

フィットクルー(469A) IPO評価:3つのポイント
まず結論から。フィットクルーIPOは「初値高騰に期待できるが、上場後は注意が必要」と評価します。ブックビルディング(抽選)には積極的に参加したい案件です。
- 【需給】吸収金額7.3億円の「超小型」案件
- 市場から吸収する資金が非常に少なく(超小型)、需給が引き締まりやすいため、初値は高騰しやすい典型的なパターンです。
- 【業績】利益が急拡大する「変曲点」にある
- 2024年までは先行投資で利益率が低かったものの、2025年に入り利益が爆発的に増加しています。割安なPER(株価収益率)11.6倍という評価も出ており、成長性が評価される可能性が高いです。
- 【最大リスク】「1.5倍の壁」という爆弾
- ベンチャーキャピタル(VC)が大量の株を保有しており、株価が公開価格の1.5倍(想定2,865円)に達すると、そのロックアップ(売却禁止の約束)が解除されます。
- つまり、「株価が1.5倍になった途端、大量の売りが出て株価が上がりにくくなる」という強力な「上値抵抗線」が存在します。

フィットクルー(469A)とは?強みを分析
フィットクルーは単なるジム運営会社ではありません。2つの強力な事業を連携させている点が特徴です。

強み①:女性専用ジム「UNDEUX」の徹底したブランド戦略
主力事業は、全国26店舗(2025年5月時点)を展開する女性専用パーソナルジム「UNDEUX SUPERBODY(アンドゥスーパーボディ)」。
同社の強みは、創業時から「女性の安心・安全」にとことんこだわっている点です。マンションの1室で始めた1号店を「お客様が心から安心できる環境ではない」という理由だけで、わずか9ヶ月で閉鎖・移転したという逸話があるほど。
この「心理的安全性」へのこだわりが、高単価でも選ばれる強力なブランドを築いています。
強み②:トレーナー育成「プロジム」による人材エコシステム
もう一つの柱が、パーソナルトレーナー養成スクール「プロジム」の運営です。
これが単なるスクール事業ではなく、フィットクルーの成長を支える「心臓部」となっています。
- 人材の安定確保: 「プロジム」で自社の理念に合った優秀なトレーナーを育成します。
- 即戦力化: 育成したトレーナーを、そのまま自社の「UNDEUX」に採用できます。
- コスト削減&品質担保: 採用コストを抑えつつ、質の高いトレーナーを安定的に供給できるため、迅速な店舗展開が可能になります。
この「人材の垂直統合」こそが、他社が簡単に真似できない強力な競争優位性となっています。
業績分析:利益が爆発的に増加する「変曲点」か
フィットクルーの業績は、まさに今、大きな転換点を迎えています。
- 過去(2024年11月期まで): 売上は+38.8%と高成長でしたが、先行投資(新規出店コストなど)がかさみ、営業利益率は4.6%と低い水準でした。
- 現在(2025年11月期): 第3四半期(9ヶ月間)の純利益(1.5億円)が、すでに前期(12ヶ月間)の営業利益(1.12億円)を大幅に超えています。
これは、先行投資フェーズが完了し、既存店の収益化によって利益が一気に噴き出す「利益の変曲点」を迎えたことを強く示唆しています。

フィットクルー IPOの懸念材料(リスク)
手放しで喜べるわけではありません。このIPOには明確な懸念材料が2つあります。
最大のリスク:「1.5倍の壁」とは?VCの売却圧力
IPO分析で最も重要な「株主構成」に、最大のリスクが潜んでいます。
- VC(ベンチャーキャピタル)2社が、発行済株式の約33.6%(3分の1以上)という大量の株式を保有しています。
- このVC保有株には、「株価が公開価格の1.5倍以上になったら、180日を待たずに売却してもよい」というロックアップ解除条項が付いています。
▼これが意味すること
想定発行価格1,910円の1.5倍は「2,865円」です。
もし初値が2,865円を超えて高騰した場合、その瞬間からVCによる「株式の3分の1」という膨大な売りが出てくる可能性があり、株価の上昇が強く抑えつけられます。
この「2,865円の壁」は、上場後の株価を左右する最大の要因となります。
VCの「出口(イグジット)」案件?
今回のIPOは、会社が新しい資金を調達する「公募(11万株)」よりも、既存の株主が株を売却する「売出(22.4万株)」が2倍以上も多くなっています。
これは、会社の成長投資のためというより、「既存株主(VC)が利益を確定させるため(=出口)」のIPOという側面が強く、一般的に投資家からはマイナス材料と見られます。

バリュエーション(株価評価):割安か?
フィットクルーの株価は割安なのでしょうか?
- 過去の業績(2024年)で見る場合: PER(株価収益率)は41倍超となり、割高に見えます。
- 足元の業績(2025年)で見る場合: 利益が急増しているため、実質PERは11.6倍まで低下し、割安と評価できます。
市場が「過去の低利益」をネガティブ視すれば(公募割れ予想48%)、株価は低迷するかもしれません。
しかし、市場が「現在の利益急増」をポジティブに評価すれば(1.5倍以上予想28%)、株価は上昇すると考えられます。
利益の「変曲点」を迎えていることを考慮すれば、「実質PER11.6倍」を基準に考えるべきであり、株価は「割安」と判断するのが妥当でしょう。
フィットクルー(469A) IPO基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 証券コード | 469A |
| 上場市場 | 東証グロース |
| 上場予定日 | 2024年12月12日(木) |
| 想定発行価格 | 1,910円 |
| 想定時価総額 | 約20.5億円 |
| 吸収金額(OA込) | 約7.3億円(超小型) |
| ブックビルディング期間 | 11月27日(水)~12月3日(火) |
| 公募株数 | 110,000株 |
| 売出株数 | 224,400株 |
| OA株数 | 50,100株 |
| 主幹事証券 | みずほ証券 |
| その他幹事 | SBI証券, 楽天証券, 松井証券, 岡三証券 |
結論:フィットクルーIPOは「買い」か?
【短期(初値)戦略】= 買い
- 吸収金額7.3億円という需給面での強みは絶対的です。
- 業績も「利益の変曲点」という絶好のタイミングであり、割安感があります。
- 初値は公募価格を上回る可能性が極めて高いと予想します。
- ブックビルディング(抽選)には積極的に参加することを推奨します。
【中長期(上場後)戦略】= 慎重に
- 上場後、株価が1.5倍(2,865円)に近づくと、VCによる大量の売りに直面します。
- この「1.5倍の壁」を突破するには、VCの売りを吸収してなお買い進む、よほど強力な好材料(さらなる業績の上方修正など)が必要になります。
- 中長期で投資する場合は、このVCの売りが一巡し、需給が落ち着くタイミング(ロックアップ期間の180日後など)を待つのが賢明かもしれません。
※本記事は投資を勧誘するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。