「株価の勢いが読めない…」
「いつ買って、いつ売ればいいのか分からない…」
株式投資をしていると、そんな悩みにぶつかることはありませんか?
市場の方向性やエネルギーを視覚的に捉えるための強力なツールが、今回ご紹介する「ボリンジャーバンド」です。
この記事では、ボリンジャーバンドの基本的な見方から、明日からすぐに使える3つの具体的な取引戦略まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。ボラティリティ(価格変動)を味方につけて、あなたのトレードを一段階レベルアップさせましょう!
ボリンジャーバンドとは?市場の「勢い」を測るモノサシ
ボリンジャーバンドは、米国の投資家ジョン・ボリンジャー氏が開発したテクニカル指標です。移動平均線とその上下に引かれた2本の線、合計3本の線で構成されています。
- ミドルバンド(中央線): 過去20日間の株価の平均値(20日移動平均線)。相場の中心的な価格帯を示します。
- アッパーバンド(+2σ): ミドルバンドに「標準偏差(σ)」を2倍したものを足した線。
- ロワーバンド(-2σ): ミドルバンドから「標準偏差(σ)」を2倍したものを引いた線。

「標準偏差(σ)」って何?
難しく考える必要はありません。「株価のばらつき度合い」と理解してください。
- 値動きが小さい(低ボラティリティ): 株価が安定していると、バンドの幅は狭くなります。
- 値動きが大きい(高ボラティリティ): 株価が激しく動くと、バンドの幅は広くなります。
つまり、ボリンジャーバンドは市場のエネルギーが溜まっているのか、それとも爆発しているのかを教えてくれる便利なツールなのです。

95.4%のウソ?初心者が陥る「逆張り」の罠
「株価は95.4%の確率でバンド内に収まるから、バンドにタッチしたら逆張りすれば儲かる」という話を聞いたことがあるかもしれません。
これは非常に危険な誤解です。
確かに統計上、価格の多くはバンド内に収まります。しかし、強いトレンドが発生すると、株価はバンドに沿って動き続ける「バンドウォーク」という現象が起こります。安易に逆張りすると、大きな損失につながる可能性があります。
バンドへのタッチは「反発のサイン」ではなく、「トレンド発生のサインかも?」と考えるのが成功への第一歩です。
絶対に覚えたい!ボリンジャーバンドの2大パターン
ボリンジャーバンドの形状変化を読むことで、市場の次の動きを予測しやすくなります。特に重要な2つのパターンを覚えましょう。
1. スクイーズ → エクスパンション(力を溜めて、放つ!)
- スクイーズ: バンドの幅が非常に狭くなる状態。市場が方向性を失い、次の大きな動きに向けてエネルギーを溜めているサインです。「嵐の前の静けさ」と覚えてください。
- エクスパンション: スクイーズの後、バンドの幅が急激に広がること。溜め込んだエネルギーが解放され、強いトレンドが発生するサインです。
スクイーズを見つけたら、株価が上下どちらに飛び出すか(ブレイクアウトするか)を注意深く監視しましょう。

2. バンドウォーク(トレンド継続のサイン)
株価がアッパーバンド(+2σ)やロワーバンド(-2σ)に沿って「歩く」ように推移する状態です。これは非常に強力なトレンドが継続していることを示します。
上昇トレンド中のバンドウォークでは、株価はミドルバンドまで下がることなく、+2σとミドルバンドの間で推移し続けます。この最中に逆張りの売りを仕掛けるのは絶対にやめましょう。

明日から使える!3つの実践トレード戦略
それでは、これらのパターンをどうやって実際の取引に活かすのか、3つの具体的な戦略をご紹介します。
戦略1:ボラティリティ・ブレイクアウト戦略(順張り)
最も王道で信頼性の高い戦略です。スクイーズからのエネルギー解放を狙います。
- 狙い: レンジ相場からトレンド相場への転換点を捉える。
- エントリー:
- 買い: スクイーズの後、ローソク足の終値が+2σを明確に上抜けたらエントリー。
- 売り: スクイーズの後、ローソク足の終値が-2σを明確に下抜けたらエントリー。
- 利益確定の目安: トレンドが続く限り利益を伸ばし、反対側のバンド(買いポジションなら-2σ)が横ばいから向きを変えたら決済を検討。
- 損切りの目安: エントリー後、価格がミドルバンドの内側に戻ってしまったら損切り。
戦略2:平均回帰戦略(逆張り)
バンドが平行に推移する「レンジ相場」でのみ有効な短期戦略です。
- 注意: トレンド発生時には絶対に使わないでください。
- エントリー:
- 買い: 株価が-2σにタッチし、反発を示すローソク足(例:下ヒゲ陽線)が出たらエントリー。
- 売り: 株価が+2σにタッチし、反落を示すローソク足(例:上ヒゲ陰線)が出たらエントリー。
- 利益確定の目安: ミドルバンド。
- 損切りの目安: エントリー後、反発せずにバンドウォークが始まってしまったら即座に損切り。
戦略3:合わせ技で勝率アップ!他の指標と組み合わせる
ボリンジャーバンドは単体でも強力ですが、他の指標と組み合わせることで「ダマシ」を減らし、勝率をさらに高めることができます。
- + RSI(相対力指数): 「買われすぎ・売られすぎ」を判断するRSIと組み合わせることで、反転の精度を高めます。特に、株価は安値を更新しているのにRSIは切り上がっている「ダイバージェンス」は、強力な買いサインになることがあります。
- + 出来高: ブレイクアウトが発生した際に、出来高が急増していれば、そのブレイクアウトの信頼性は非常に高いと判断できます。多くの市場参加者がその動きを支持している証拠です。
まとめ:ボリンジャーバンドを使いこなすための3つの鉄則
最後に、ボリンジャーバンドを使いこなすための最も重要なポイントを3つにまとめます。
- バンドタッチで安易に逆張りしない: バンドへのタッチはトレンド発生のサインかもしれないと心得る。
- 「スクイーズ」を探す: 最も大きな利益が狙えるのは、エネルギーが凝縮されたスクイーズからのブレイクアウト。
- 他の指標と組み合わせる: 出来高やRSIと併用して、エントリーの根拠を強固にする。
ボリンジャーバンドは、市場の心理とエネルギーを読み解くための羅針盤です。今日学んだ知識を武器に、ぜひご自身のチャートでパターンを探してみてください。観察と検証を繰り返すことが、成功への一番の近道です。