2025年は、投資家にとって記憶に刻まれる歴史的な1年となりました。日経平均株価はついに5万円の大台を突破し、米国市場も最高値を更新し続けるなど、驚異的な強気相場が展開されました。
しかし、その背景には「実体経済の強さ」だけではない、複雑な政治的要因やAI技術の進化が絡み合っています。

本記事では、2025年の株式市場を動かした3つの大きな要因(政治・経済・技術)を振り返りながら
「なぜ株価はここまで上がったのか?」
「2026年はどうなるのか?」
について、投資初心者の方にも分かりやすく解説します。
2025年の株式市場ハイライト:歴史的「大いなる分岐」
2025年の市場を一言で表すなら、「政治の復権」と「AIの実需化」です。日米ともに新しいリーダーが誕生し、政治の力が市場を強力に牽引しました。

主な市場トピック
- 日経平均株価: 史上初の5万円突破(一時52,000円台)。
- 米国市場: S&P500が6,900ポイント、ナスダックが23,000ポイント台で推移。
- キーワード: トランプ関税、サナエノミクス、生成AIインフラ、スタグフレーション懸念。
実体経済を見ると、日本のGDP成長率はマイナス圏に沈むなど決して順風満帆ではありませんでした。それでも株価が上がり続けたのは、「不況だからこそ、政府は株価対策(財政出動)をせざるを得ない」という市場の読み(政策期待)が働いたからです。
日経平均5万円の原動力「サナエノミクス」とは?
2025年10月、高市早苗氏が首相に就任したことで、日本市場の流れは大きく変わりました。市場が熱狂した「サナエノミクス」の正体は、以下の3つの柱です。
① 危機管理と成長への「国家投資」
従来のバラマキではなく、「国を守り、成長させる」ための投資が加速しました。
- AI・半導体産業支援: 国策としての巨大投資。
- 防衛力強化: 防衛費増額の前倒し。
- エネルギー安保: 小型原子炉(SMR)などへの注力。
② 責任ある積極財政
2025年度補正予算案では、過去最大級となる約18兆円規模の財政出動を決定。赤字国債を発行してでもデフレからの完全脱却を目指す姿勢が、投資家に「政府は本気だ」と思わせました。

③ 日銀への政治的圧力
「利上げを急ぐな」というメッセージにより、円安環境が維持されました。これが輸出企業の業績を下支えし、株価を押し上げる要因となりました。
ポイント
実体経済(GDP)が悪くても、政府がお金を使い、金融緩和が続けば株価は上がるという「金融相場・財政相場」の典型例となりました。
トランプ政権「関税カード」の衝撃と日本企業への影響
米国ではドナルド・トランプ氏が大統領に返り咲き、世界経済に緊張が走りました。特に注目されたのが「関税政策」です。

「日米戦略的貿易・投資協定」の深層
トランプ政権は日本に対し、実質的な増税となる「一律15%の関税」を課しました。しかし、最悪のシナリオ(25%以上)は回避されたため、市場はこれを「織り込み済み」として消化しました。
その代償として、日本企業は以下のような対応を迫られました。
- 巨額の対米投資: エネルギーやAIデータセンターへ約80兆円規模の投資を確約。
- 現地生産の加速: トヨタやホンダなどは、関税を避けるために米国での生産比率を上げる必要に迫られました。
これにより、米国での工場建設に関わる建設機械やプラント企業には特需が生まれましたが、自動車メーカーなどはコスト増という課題を背負うことになりました。
セクター別・勝ち組と負け組の明暗
2025年は、「何を買っても上がる」相場ではなく、テーマに乗れた銘柄だけが爆発的に上昇する相場でした。

【勝ち組】AIインフラ・防衛・電力
2024年までの「AIへの期待」から、2025年は「実際にAIを使うためのインフラ建設」へとお金が動きました。
- 半導体メモリ(キオクシアHD等): AIがデータを処理するために必須となるSSD(記憶媒体)の需要が爆発。株価は年間で4倍以上になる銘柄も。
- 電線・電力(フジクラ、住友電工等): データセンターは大量の電気を使います。送電網や光ファイバーへの需要が急増しました。
- 防衛・重工(三菱重工、IHI等): サナエノミクスの防衛費増額や、宇宙・航空エンジンの需要回復が追い風に。
【負け組】中国依存・消費関連
- 中国関連株(化粧品、トイレタリー等): 中国経済の減速と現地ブランドの台頭により、かつてのインバウンド銘柄は苦戦を強いられました。
- 消費関連: 物価高(インフレ)で消費者の財布の紐が固くなり、アパレルや外食の一部は株価を下げました。
2026年の投資戦略と注意すべきリスク
2025年の熱狂を経て、2026年はどのような年になるのでしょうか?

最大のリスク:日本の金利急騰
サナエノミクスによる巨額の国債発行は、将来の借金負担を増やします。もしインフレが止まらず、日銀が急激な利上げ(金利引き上げ)を迫られれば、住宅ローン金利の上昇や、国の利払い費増大が問題化する「悪い金利上昇」のリスクがあります。
2026年の投資チャンス
AI革命はまだ終わりません。今後はインフラ作りから、「AIを使って業務効率を劇的に上げた企業」が評価されるフェーズに入ります。
- 金融、ヘルスケアなど、非テク系企業でのAI活用。
- 価格転嫁に成功し、賃上げができる「強い日本企業」。
まとめ
2025年は「政治とAI」が株価を押し上げた年でした。2026年は、その勢いが実体経済の成長につながるかどうかの正念場です。ニュースのヘッドラインだけでなく、「金利」と「政策」の動きを注視しながら、慎重かつ大胆に投資判断を行っていきましょう。
