【2026年介護保険改正】2割負担の対象拡大と「骨抜き」緩和策を徹底解説!私たちの負担はどう変わる?

【2026年介護保険改正】2割負担の対象拡大と「骨抜き」緩和策を徹底解説!私たちの負担はどう変わる?

2025年12月18日

2026年、団塊の世代が全員75歳以上となる「2025年問題」を目前に、介護保険制度の大きな見直し議論が大詰めを迎えています。
特に注目されているのが、介護サービス利用料の「2割負担」対象者の拡大です。

当初は大幅な対象拡大が予想されていましたが、物価高や高齢者の生活実態を考慮し、厚生労働省は「異例の激変緩和策」をセットにした修正案を提示しました。

この記事では、最新の厚労省案に基づき、「年収いくらから2割になるのか?」「緩和策で支払いはどうなるのか?」そして「国の財政効果がなぜ激減するのか?」について、分かりやすくまとめました。

今回の改正ポイント:2割負担の対象が広がる

現在、介護保険サービスの自己負担は原則「1割」ですが、一定以上の所得がある人は「2割」または「3割」負担となっています。

今回の改革では、この「2割負担」のボーダーラインを引き下げ、対象者を増やすことが提案されています。

変更案の概要(単身世帯の場合)

厚労省は以下の4つのシナリオを提示しましたが、もっとも対象範囲が広い「上位30%(年収230万円以上)」あたりが議論の主戦場となっています。

年金収入+その他所得対象範囲影響人数
現行280万円以上上位20%-
改正案230万〜260万円以上上位25〜30%+13万〜35万人

もし年収230万円(月額約19万円)以上が対象となれば、これまで1割負担だった多くの中間層高齢者が、新たに負担倍増の対象となります。

厚労省が提示した「2つの激変緩和策」とは?

「物価も上がっているのに、介護費まで倍になるのは生活できない!」という批判を受け、厚労省はこれまでにない強力な2つのブレーキ(激変緩和策)を用意しました。

① 負担増額に「月額7,000円」の上限キャップ

1つ目は、1割から2割になったことによる「増えた支払い分」に上限を設ける措置です。

  • 内容: 負担増は月額最大3,000円〜7,000円程度に抑える(厚労省案では7,000円が有力)。
  • ポイント: 支払いの「総額」ではなく、「増えた分」の上限です。

【例:サービスをたくさん使っている人の場合】

  • 本来の負担増:+15,000円
  • 緩和策適用後:+7,000円(上限)
  • 結果: 本来より負担は軽くなりますが、それでも月7,000円(年間8.4万円)の出費増となります。

② 【史上初】「預貯金(資産)」による適用除外

2つ目は、「年収が高くても、貯金が少ない人は1割負担のままにする」という新しい仕組みです。

  • 内容: 所得基準(年収230万円以上など)に引っかかっても、預貯金等が一定額(300万円〜700万円など)以下であれば、申請により2割負担を免除する。
  • 狙い: 毎月の年金は多少あっても、住宅ローンや医療費で貯蓄がない高齢者を救済するため。
  • 課題: 銀行通帳のコピー提出など、資産調査(ミーンズテスト)が必要になり、プライバシーや手続きの煩雑さが懸念されています。

なぜ「改革効果がしぼむ」と言われるのか?

この2つの緩和策は、高齢者の家計にとっては朗報ですが、国の財政視点で見ると「改革の意味がなくなる(骨抜き)」というパラドックスを生んでいます。

衝撃の試算データ:効果はわずか「0.1%」未満

当初、2割負担の対象を広げることで、国は年間数百億円の給付費削減を見込んでいました。しかし、手厚い緩和策を導入することで、その削減効果は劇的に小さくなります。

  • 緩和策なしの削減効果: 約500億円
  • 緩和策ありの削減効果: 約40億〜100億円

年間14兆円を超える介護給付費全体から見れば、40億円はわずか0.03%程度。「焼け石に水」状態となり、制度を持続させるための財政再建効果はほとんど期待できません。

さらに、資産調査などの事務作業に数十億円規模の行政コストがかかる見込みで、費用対効果の面でも疑問視されています。

私たちへの影響と今後の見通し

利用控え(受診抑制)のリスク

緩和策があるとはいえ、負担が増えることには変わりありません。「月数千円でも痛い」と感じる高齢者がデイサービスや訪問介護の利用回数を減らし、その結果、心身の状態が悪化(重度化)してしまうリスクが指摘されています。

将来的な「資産課税」への布石か

専門家の間では、今回の改革の真の狙いは「目先の数億円」ではなく、「資産(預貯金)を負担能力の判定に使うシステム」を導入することにあると見られています。

一度この仕組みが入れば、将来的に緩和策が終了した際、本格的な負担増がやってくる可能性があります。

まとめ:2026年改正のポイント

  • 対象拡大: 2割負担の年収基準が引き下げられる(280万円→230万円〜へ)。
  • 緩和策①: 負担増には「月額上限(7,000円など)」が設けられる。
  • 緩和策②: 預貯金が少ない人は、申請すれば「1割負担」に戻れる(資産要件)。
  • 財政影響: 緩和策により、国の削減効果は数百億円から数十億円規模へ激減する。

今回の改正は、高齢者の家計への即時的な大打撃は避けられたものの、制度の抜本的な解決は「先送り」された形と言えます。

年末の最終決定に向け、資産要件の具体的な金額(300万円か500万円か)など、細部の議論に注目が集まります。

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