日本の外食産業に大きな再編の波が訪れました。独立系投資会社のロングリーチグループが、傘下で「珈琲館」や「カフェ・ベローチェ」などを運営するC-United(シーユナイテッド)を、外食大手のコロワイドに売却することが明らかになりました。

買収額は400億円前後とみられており、コロワイドはこの買収を通じてカフェ事業の強化と、自社のデザート事業との強力なシナジー(相乗効果)を狙います。本記事では、この大規模M&Aの背景と、今後の外食市場に与える影響を多角的に分析します。
投資ファンド主導で誕生したカフェ連合「C-United」の歩み
C-Unitedは、単一のブランドではなく、複数の老舗カフェチェーンが統合されて誕生した企業体です。
ロングリーチグループは2018年にUCCグループから「珈琲館」を買収したのを皮切りに、2021年には「カフェ・ベローチェ」を運営するシャノアールと合併させました。さらに2023年にはサッポロホールディングス傘下だった「カフェ・ド・クリエ」を統合し、国内有数のカフェプラットフォームを構築しました。

現在、C-Unitedは以下の主要ブランドを含む約600店舗を展開しています。
- カフェ・ベローチェ:都市部のビジネスパーソンに支持されるセルフサービス型
- 珈琲館:銅板で焼くホットケーキが人気のフルサービス型
- カフェ・ド・クリエ:健康志向のメニューが豊富なセルフサービス型
- THE SMOKIST COFFEE:喫煙ニーズに特化した都市型新業態
今回の売却は、投資ファンドとしてのロングリーチグループが、企業価値向上のフェーズを終え、事業会社へのバトンタッチを行う「エグジット(出口戦略)」としての側面を持っています。
コロワイドの戦略的意図と400億円規模の投資
外食最大手の一角であるコロワイドが優先交渉権を獲得した背景には、明確な成長戦略があります。
デザート事業との垂直統合による相乗効果
今回の買収における最大の鍵は、コロワイドが注力しているデザート事業との連携です。コロワイドは近年、「チーズガーデン」などの高品質なスイーツブランドを展開する企業を買収しています。
カフェにおいてデザートは、ドリンクに次いで利益率が高く、客単価を左右する重要カテゴリーです。自社で製造する高品質なスイーツをC-Unitedの広大な店舗網で提供することで、他社との差別化と原材料コストの低減を同時に実現する狙いがあります。
物流網とインフラの共通化
コロワイドは全国に自社の物流網とセントラルキッチン(集中調理施設)を保有しています。C-Unitedの店舗がこの巨大なインフラに組み込まれることで、食材の配送効率が向上し、大幅なコスト削減が見込まれます。また、店舗での調理工程を一部集約化することで、人手不足問題の解消にも寄与します。
カフェ業界の勢力図はどう変わるか
日本のカフェ市場は現在、スターバックス、ドトール、コメダ珈琲店の「3強」が激しいシェア争いを繰り広げています。

買収後のコロワイド+C-United連合は、店舗数でこれら上位陣に迫る規模となります。特に、郊外型で強い支持を得るコメダ珈琲店に対し、フルサービスの「珈琲館」をどのように対抗させていくかが注目されます。
また、リモートワークの定着により「サードプレイス(第3の居場所)」としてのカフェの役割は変化しています。コロワイドの資本力を背景に、店舗のリニューアルやデジタル化が加速すれば、市場の勢力図を塗り替える可能性があります。
今後の展望と注視すべきポイント
400億円という巨額の買収額を回収するためには、迅速なPMI(ポスト・マージ・インテグレーション:買収後の統合プロセス)が不可欠です。

特に以下の点が今後の焦点となります。
- ブランドの独自性維持:老舗ブランドのファンを維持しつつ、効率化を進められるか
- DXの加速:モバイルオーダーやAI活用による店舗体験の向上
- 海外展開:コロワイドのネットワークを活用した「日本式カフェ」のアジア展開
今回の買収は、単なる企業の所有権の移転にとどまらず、日本の外食文化が資本とテクノロジーによって新たなステージへ進化する試金石となるでしょう。
免責事項:本記事は2026年2月20日時点の報道に基づいた分析記事です。取引の詳細は今後の交渉により変更される可能性があります。