ニュースでも話題になっている「無印良品」を展開する良品計画(7453)
かつては業績悪化で株価が低迷していましたが、現在は「3期連続最高益」を記録し、株価も心理的な節目である3,000円を突破するなど、劇的なV字回復を遂げています。
「なぜ急に業績が良くなったの?」
「株価はどこまで上がる?」
「今から買っても遅くない?」
そんな疑問を持つ投資家やビジネスパーソンのために、良品計画の復活劇の裏側と、今後の成長シナリオを分かりやすく解説します。
丁度先週、下落直後の要因・見通しの解析も掲載しているのでこちらも併せて確認してみてください:)
なぜ良品計画は復活したのか?3つの決定的な理由
結論から言うと、良品計画の回復は「運」ではなく、経営陣による「構造改革(第二創業)」の成功によるものです。具体的には以下の3つの要因が重なりました。
- 「値上げしても客が離れない」ブランド力の証明
- 海外事業(特に欧米)の黒字化と構造改革
- インバウンド需要と「生活圏」への出店戦略

① 値上げ成功と客数増の「二兎を得る」
2023年から2024年にかけて、原材料高や円安を背景に多くの企業が値上げに苦戦する中、無印良品は戦略的な価格改定を行いました。驚くべきは、値上げをしたにもかかわらず、客数が増加した点です。
これにより、1品あたりの利益が増え、さらに無駄な値引き販売(マークダウン)が減ったことで、利益率が劇的に改善しました(営業総利益率は50.8%へ向上)。
② 赤字だった欧米事業が「稼ぐ力」に
長年の課題だった北米・欧州事業。特に北米は不採算店の閉鎖や賃料交渉(チャプター11の活用など)を経て、筋肉質な体制へ生まれ変わりました。欧米事業の営業利益率は16.4%まで向上し、今や全社の利益を押し上げる存在になっています。
③ インバウンドと「土着化」
円安による訪日外国人の爆買い(インバウンド)に加え、国内では「生活圏」への出店を強化。都心だけでなく、住宅地に近い場所に店を出すことで、「たまに行く無印」から「毎日寄る無印」へと変化させ、来店頻度を高めることに成功しました。
決算データで見る「3期連続最高益」の凄さ
実際の数字を見てみましょう。2024年8月期の決算は、市場の予想を上回るポジティブな結果でした。

| 項目 | 2024年8月期 実績 | 前期比 | 2025年8月期 予想 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 6,616億円 | +13.8% | 7,540億円 |
| 営業利益 | 561億円 | +69.4% | 640億円 |
| 純利益 | 415億円 | +88.5% | 440億円 |
特筆すべきは営業利益の伸び(約70%増)です。売上の伸び以上に利益が伸びているのは、経営効率が良くなっている証拠(営業レバレッジ)です。
2025年8月期も増収増益を見込んでおり、第1四半期時点ですでに前年同期比30%以上の増益ペースで推移しています。
株価3,000円回復の意味とバリュエーション
市場の評価が一変した背景
2022年頃、良品計画の株価は1,300円台(分割調整後)まで低迷していました。「円安に弱い」「ユニクロやニトリに勝てない」という悲観論が支配的だったからです。
しかし、「値上げができる強いブランド」であることが証明された今、市場の評価は一変しました。株価は2025年初頭には3,500円台に到達し、投資家からの信頼を取り戻しています。
現在の株価は割高?割安?
- PER(株価収益率): 約28〜29倍(市場平均は約16倍)
PERだけで見ると「割高」に見えますが、これは市場が良品計画を「今後も成長し続けるグローバル企業(コンパウンダー)」として期待している表れでもあります。東南アジアなどの海外成長余地を加味すれば、プレミアムが乗るのは自然な流れとも言えます。
4今後の成長戦略:注目すべき3つのポイント
これからの良品計画はどこに向かうのか? 中期的な成長ドライバーは以下の3点です。

① 「第2の成長エンジン」東南アジア
中国市場は依然として利益の柱ですが、次は東南アジア(ASEAN)が熱いです。タイやベトナムでは中間所得層が増え、日本の無印良品への憧れも強いため、既存店売上が二桁成長を続けています。これからの出店拡大余地は絶大です。
② 小売の枠を超える「MUJI ENERGY」と「団地リノベ」
良品計画はただモノを売るだけでなく、社会インフラになろうとしています。
- MUJI ENERGY: JERAと組み、太陽光発電などでエネルギーを自前化。
- 団地リノベーション: URと連携し、古い団地を無印流におしゃれに再生。
これらはESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点からも評価が高く、長期的な企業価値向上につながります。
③ 国内「年間純増100店舗」構想
国内では、500円以下の日用品を充実させた「MUJI 500」などを武器に、さらに身近な場所への出店を加速させています。2028年には国内外で1,750店舗体制を目指しています。
投資家が注意すべきリスク
良いことづくめに見えますが、リスクもあります。

- 中国リスク: 売上・利益の多くを中国に依存しています。米中対立や中国経済の急激な冷え込みは警戒が必要です。
- 為替リスク: 円高に振れれば輸入コストは下がりますが、海外事業の利益(円換算)は目減りします。
- カニバリゼーション: 国内で店舗を増やしすぎると、自社店舗同士でお客を取り合う可能性があります。
まとめ:良品計画は「再生」から「再成長」フェーズへ
良品計画の3期連続最高益は、一時的なブームではなく、構造改革による強い体質改善の結果と言えます。
- 強み: 値上げ受容力、海外(特に東南アジア)の成長性、独自のESG戦略
- 株価: 期待値は高いが、成長が続く限り正当化される水準
「無印良品が好き」という消費者目線だけでなく、「グローバルで戦える日本ブランド」として、投資対象としての魅力も再確認されています。今後の四半期決算で、成長ペースが維持されるかに注目です。

