2026年1月、ファーストリテイリング(9983.T) の株価見通しに大きな動きがありました。
2026年8月期第1四半期(Q1)の好決算を受け、ゴールドマン・サックスを含む主要証券会社が投資判断を「強気(Buy)」に据え置き、目標株価を64,000円へと引き上げました。
「ユニクロはもう成長の限界ではないか?」
そんな市場の懸念を払拭し、「グローバル・スーパーブランド」へと進化を遂げた同社の強さについて、最新レポートをもとに解説します。
人間心理を徹底的に考え抜いた 「強い会社」に変わる仕組み リクルートで学び、ユニクロ、ソフトバンクで...
なぜ目標株価64,000円なのか?3つの決定的な理由
今回の目標株価引き上げ(リレーティング)の背景には、単なる一時的な増益ではない、構造的な「稼ぐ力」の変化があります。主な理由は以下の3点です。

1. 欧米事業が「稼ぎ頭」に急成長
かつては先行投資の負担が重かった北米・欧州事業が、完全に収益の柱となりました。
- 北米・欧州の成長: ブランド認知の向上と主要都市への出店戦略が成功。
- 実績: 海外ユニクロ事業全体で、売上収益20.3%増、事業利益38.0%増という驚異的な伸びを記録しました。
2. インフレに負けない「値上げ力」
原材料費や人件費の高騰が続くインフレ環境下でも、ファーストリテイリングは利益率を改善しています。
- 利益率改善: 売上総利益率(粗利率)は55.2%へ向上(前年同期比+0.7ポイント)。
- LifeWearの強さ: 「使い捨てのファストファッション」ではなく「質の高い普段着」という価値が認められ、価格転嫁しても顧客が離れていないことが証明されました。
3. 中国市場の底打ちと進化

懸念されていた中国市場(グレーターチャイナ)でも、Q1は増収・2桁増益を達成しました。一律な大量出店から、地域ごとの需要に合わせた「個店経営」へのシフトが成果を上げています。
証券各社のアナリスト評価・レーティング一覧
決算発表後の主要証券会社の動きは以下の通りです。コンセンサス予想を大きく上回る強気の評価が並んでいます。
| 証券会社 | 投資判断 | 旧目標株価 | 新目標株価 |
|---|---|---|---|
| 米系大手証券 A | 強気 (Buy) | 60,000円 | 64,000円 |
| 米系大手証券 B | 買い (Buy) | 62,000円 | 66,000円 |
| ゴールドマン・サックス | 買い (Buy) | 60,000円 | 64,000円 |
| UBS証券 | 買い (Buy) | 57,500円 | 62,200円 |
市場の平均的な目標株価が5万円台後半だったところから、一気に6万円台中盤へと期待値がシフトしています。
2026年8月期 第1四半期決算のハイライト
今回の評価の根拠となったQ1(2025年9月〜11月)の業績を振り返ります。

- 売上収益:1兆0277億円(前年同期比 +14.8%)
- たった一つの四半期で売上1兆円の大台を突破しました。
- 営業利益:2109億円(前年同期比 +33.9%)
- 売上の伸び以上に利益が伸びる「筋肉質な体質」になっています。
- 営業利益率:20.5%
- 小売業としては極めて高い収益性です。
好調の要因:ダブルの追い風
- 粗利率の改善: 値引き販売を抑制し、プロパー(定価)での消化が進みました。
- 販管費率の低下: セルフレジ導入や物流効率化(有明プロジェクト)により、売上規模拡大に伴うコスト削減効果(レバレッジ)が効いています。
地域別・事業別の今後の展望
🌍 海外ユニクロ(成長エンジン)
- 北米: 売上30%増。Z世代を中心に「賢い消費」の象徴として定着。
- 欧州: 売上34%増。パリやロンドンに加え、フランクフルトやワルシャワなど新規市場も開拓中。
- アジア: 東南アジア、インド、豪州も「ネクスト・チャイナ」として2桁成長を継続。
🇯🇵 国内ユニクロ(安定収益基盤)
- インバウンド需要が引き続き旺盛です。
- 懸念点: 2025年12月の記録的な暖冬により、直近の既存店売上はマイナスとなりました。しかし、通年商品(エアリズム等)の強化や在庫コントロールでカバーを図っています。
👗 GU(ジーユー)
- ニューヨークへの旗艦店出店など、本格的なグローバル化が始動。
- トレンド商品のヒット不足という課題はあるものの、在庫管理の徹底で増益を確保しています。
今後の株価見通しと投資戦略

通期業績の上方修正
会社側は通期の業績予想を以下の通り上方修正しています。
- 売上収益: 3兆8,000億円
- 営業利益: 6,500億円
- 年間配当: 540円(増配)
投資判断のポイント
現在のPER(株価収益率)は40倍台と、一般的なアパレル企業と比較すると割高に見えます。しかし、以下の理由から市場はこのプレミアムを許容しています。
- 成長の希少性: 巨大企業でありながら2桁成長を続けている。
- 安全資産としての側面: 財務が盤石で、不況にも強い。
- 為替メリット: 海外売上比率が高く、円安が利益を押し上げる構造(円高でも現地通貨建ての成長は続く)。
リスク要因

- 気候変動: 暖冬による冬物販売の不振。
- 地政学リスク: 中国市場の動向やサプライチェーンの問題。
まとめ
目標株価64,000円への引き上げは、ファーストリテイリングが日本の一企業から「世界のインフラ企業」へと脱皮したことを評価したものです。
短期的には暖冬の影響で株価が調整する場面(押し目)があるかもしれませんが、中長期的な成長ストーリーは崩れておらず、引き続き注目の銘柄と言えるでしょう。
※本記事は情報の提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

