2025年10月25日から、楽天証券の新規公開株式(IPO)および公募・売出(PO)のルールが大きく変更されます。
これまで独自の「後期型」で知られていましたが、多くの証券会社が採用する「前期型(一般型)」へと移行します。
この変更は、IPO投資家の資金効率や利便性に直結する重要なアップデートです。この記事では、何がどう変わるのか、投資家にとってのメリット・デメリット、そして新ルールで成功するための戦略まで、分かりやすく解説します。

楽天証券IPO新ルールの3大変更ポイント
今回のルール変更における最も重要なポイントは、以下の3つです。
1. 抽選タイミングが前倒し!「前期型」へ移行
最大の変更点です。抽選のタイミングが、従来の「購入申込期間の最終日」から「公募価格決定日」へと大幅に早まります。
これにより、SBI証券など業界のスタンダードなスケジュールに統一され、複数の証券会社を利用する投資家にとって分かりやすくなります。
2. 【朗報】落選者の資金拘束がゼロに!
これまで、IPOに申し込むと当落結果が分かるまで申込者全員の資金が拘束されていました。
新ルールでは、落選した場合の資金拘束が一切なくなります。
抽選結果が判明した直後から、資金を他の投資や出金に自由に使えるため、特に複数のIPOに同時に申し込みたい「IPOラッシュ」時において資金効率が劇的に向上します。
3. 新たに「補欠当選」制度がスタート
「当選」と「落選」しかなかった結果に、新たに「補欠当選」が加わります。
これは、当選者が購入を辞退した場合に、繰り上げて当選となる可能性がある権利です。チャンスが一つ増えることになりますが、補欠当選者は繰り上げ結果が判明するまで資金が拘束される点には注意が必要です。

出展:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/info20250912-02.html
新旧ルールの比較表
変更点を一目で理解できるよう、新旧のルールを比較表にまとめました。
| 項目 | 旧ルール(〜10/24開始銘柄) | 新ルール(10/25〜開始銘柄) |
|---|---|---|
| 抽選タイプ | 後期型 | 前期型(一般型) |
| 抽選日時 | 購入申込期間の最終日 | 公募価格決定日の18時頃 |
| 入金期限 | 購入申込の完了まで | 抽選日(公募価格決定日)の18時まで |
| 資金拘束 | 申込者全員が拘束 | 当選者・補欠当選者のみ拘束 |
| 抽選結果 | 当選・落選 | 当選・補欠当選・落選 |
| 申込価格 | 制限なし | 公募価格未満は抽選対象外 |

出展:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/info20250912-02.html
投資家への影響は?メリットとデメリット
このルール変更が、私たち投資家にどのような影響を与えるのか、良い点と注意すべき点を整理します。
メリット
- 資金効率の最大化:落選時の資金拘束がなくなることで、同一資金を他のIPOの抽選にすぐ振り向けることができます。
- 迅速な意思決定:当落結果が早く分かるため、次の投資戦略を素早く立てられます。
- 手続きの簡素化:業界標準のプロセスになるため、初心者にも分かりやすくなります。
デメリット・注意点
- 入金期限が非常にタイトに:最大の注意点です。入金期限が「公募価格決定日の18時」と、従来より大幅に短縮されます。抽選結果を確認してから入金手続きをすると間に合わない可能性があるため、事前の資金準備が不可欠です。
- 従来のコンボ戦略が利用不可に:「SBI証券(前期型)で落選後、楽天証券(後期型)に申し込む」という資金効率の良い戦略が使えなくなります。
- 申込価格に注意:ブックビルディング時に申し込んだ価格が、最終的な公募価格を下回った場合、抽選の対象外となります。
新ルールでIPO当選を目指すための3つの戦略
新しいルールに適応し、当選確率を少しでも上げるために、以下の3つの戦略を推奨します。
「マネーブリッジ」の活用は必須!
タイトな入金スケジュールを乗り切るために、楽天銀行と連携する「マネーブリッジ」の利用がほぼ必須となります。
自動入出金(スイープ)機能を設定しておけば、当選時に楽天銀行口座から資金が自動で移動するため、入金忘れや遅延のリスクをなくせます。
申込は「成行」または「仮条件の上限価格」で
抽選対象外になるリスクを避けるため、ブックビルディング時の申込価格は「成行」にするか、提示される「仮条件の上限価格」で申し込むようにしましょう。

出展:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/info20250912-02.html
新たな投資戦略を組み立てる
従来の戦略は使えませんが、新たな戦略を組むことが可能です。例えば、「楽天証券(前期型)で落選したら、auカブコム証券(後期型)に申し込む」といった新しい資金の流れを計画しておきましょう。
まとめ
楽天証券の今回のIPOルール変更は、独自性を手放し、業界標準に合わせることで、より多くの投資家にとって使いやすく、競争力のあるサービスへと進化させるための戦略的な一手です。
特に「落選者の資金拘束ゼロ」は大きなメリットですが、「入金期限の大幅な短縮」という重要な注意点も伴います。新ルールを正しく理解し、「マネーブリッジ」の設定など、事前の準備を万全にして、今後のIPO投資に臨みましょう。