JX金属は2026年2月10日、2026年3月期の連結純利益予想(国際会計基準)を、従来予想から140億円引き上げ、前期比36%増の930億円になる見通しだと発表しました。

上場後初となる通期決算において、当初の保守的な計画を大きく上回る勢いを見せています。本記事では、この大幅な上方修正の背景にある「AI需要」と「市況の影響」、そして投資家が注目する「増配」について詳しく解説します。
2026年3月期 業績予想修正のポイント
今回の修正では、売上高から純利益まで主要な指標がすべて引き上げられました。
| 項目 | 修正後の予想 | 増減(前回比) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,200億円 | +300億円 | +14.7% |
| 営業利益 | 1,500億円 | +250億円 | +33.4% |
| 当期純利益 | 930億円 | +140億円 | +36.2% |
この上方修正は今期3度目となり、同社の収益構造が非常に強固であることを示しています。
大幅増益を支える2つの主因
なぜ、これほどまでの成長が可能になったのでしょうか。主な要因は「先端材料の需要拡大」と「市況の追い風」の2点に集約されます。
AI普及によるデータセンター向け需要の爆発
生成AIの急速な普及に伴い、データセンター向けの材料需要が高まっています。特に以下の製品が大きく貢献しました。

- スパッタリングターゲット: 半導体配線に使用される素材で、世界シェア約6割を誇ります。
- 圧延銅箔: AIサーバー内の高速通信を担う基板に不可欠な素材です。
これらの「チョークポイント・マテリアル(代替困難な重要素材)」を保有していることが、JX金属の圧倒的な強みとなっています。
銅価格の上昇と為替の円安推移
マクロ環境も味方しました。
- 銅価格の上昇: 資源・製錬事業において在庫評価益が発生しました。
- 為替影響: 想定よりも円安で推移したことが、外貨建て資産の評価や海外売上の押し上げに寄与しました。
株主還元の強化:年間配当は27円へ
業績好調を受け、JX金属は株主還元を強化します。年間配当金は前回予想の21円から6円増額し、27円に見直されました。
- 中間配当: 6円(確定)
- 期末配当: 21円(予想)
- 配当方針: 連結配当性向20%程度を基本としつつ、銅価格上昇による利益上振れ分の一部も還元する独自の仕組みを採用しています。
この決定は、同社がキャッシュ創出力に自信を持っており、利益成長を速やかに株主に分配する姿勢の表れと言えます。
未来への投資:次世代光通信材料への戦略
業績発表と同時に、次世代の光通信を支えるインジウムリン(InP)基板の増産に向けた、約200億円の設備投資も発表されました。

AIデータセンター内での通信速度の高速化を見据え、2030年には生産能力を現在の3倍に引き上げる計画です。「現在のAI需要」だけでなく「次世代の技術革新」にも布石を打つ、隙のない戦略が進んでいます。
まとめ
JX金属の今回の発表は、同社が単なる「金属メーカー」ではなく、AI・半導体社会を支える「ハイテク素材企業」であることを改めて印象づけました。
- 純利益930億円(前期比36%増)
- AIサーバー向け材料が絶好調
- 年間配当27円へ増配
公開価格から大幅に上昇している株価も、こうした実力に基づいた評価と言えるでしょう。今後も同社の先端材料戦略から目が離せません。
免責事項: 本記事は公開された情報を基に作成しており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断で行ってください。