日経平均5万円は「始まり」か?歴史的株価を徹底解説【今後の見通しと投資戦略】

日経平均5万円は「始まり」か?歴史的株価を徹底解説【今後の見通しと投資戦略】

2025年10月28日

2025年10月27日、日経平均株価が史上初めて終値で5万円の大台を突破しました。これは1989年のような「バブル」なのでしょうか?それとも、日本株の「新時代」の幕開けなのでしょうか?

この記事では、歴史的な株価上昇の背景にある3つの理由、バブルとの違い、そして今後の見通しについて、投資初心者の方にも分かりやすく解説します。

なぜ日経平均は5万円を突破できたのか?

今回の大幅な株価上昇は、いくつかの強力な要因が重なった結果です。主な理由は「国内の期待」「海外の追い風」「日本経済の強さ」の3つです。

1. 新政権「サナエノミクス」への大きな期待

2025年10月に就任した高市早苗首相の経済政策、通称「サナエノミクス」への期待が、市場の強力な追い風となりました。

  • 高い支持率と政策実行力: 74%という高い内閣支持率を背景に、市場は「強力なリーダーシップで政策が実行される」と期待しています。
  • 積極的な経済政策: 「国土強靭化」などのインフラ投資や、防衛費の増額、エネルギー安全保障の強化といった方針が好感されています。
  • 「貯蓄から投資へ」の加速: 「資産運用立国」構想が、日本の豊富な家計貯蓄を株式市場に向かわせると期待されています。

2. 米国株高と世界的な「リスクオン」ムード

日本株が上がったのは、日本だけの要因ではありません。世界的な投資環境が非常に良好だったことも大きく影響しています。

  • 米国市場が最高値を更新: NYダウ、S&P500、ナスダックがそろって史上最高値を更新。この世界的な株高の波が日本にも及んでいます。
  • 米国の利下げ観測: アメリカの物価上昇が落ち着き、「FRB(アメリカの中央銀行)がもうすぐ利下げするのでは?」という見方が強まりました。これにより、投資家がリスクを取りやすくなる「リスクオン」ムードが広がっています。

3. 好調な日本経済と企業業績

いくら期待やムードが良くても、土台となる経済が強くなければ株価は上がりません。現在の日本は、その土台もしっかりしています。

  • 企業業績は過去最高: 日本企業の2025年4-6月期の経常利益は過去最高を更新。企業がしっかりと「稼ぐ力」を身につけています。
  • 安定した円安: 1ドル=150円台の円安が、輸出企業の業績をさらに押し上げています。
  • 堅調な経済成長: 日本のGDP(国内総生産)も安定して成長しており、国内景気も底堅い状態です。

1989年の「バブル」と何が違う?

「株価5万円」と聞くと、1989年末のバブル絶頂期(当時の最高値3万8915円)を思い浮かべるかもしれません。しかし、中身はまったく異なります。

結論から言えば、現在はバブルとは考えにくいです。

違い1:健全な「株価評価(バリュエーション)」

株価が割高かどうかを測る「PER(株価収益率)」という指標があります。これは「会社の利益に対して株価が何倍か」を示すもので、数値が低いほど割安とされます。

  • 1989年(バブル期): PERは約61倍。企業の稼ぐ力に対し、異常なほど株価が高い状態でした。
  • 2025年(現在): PERは約19倍。米国の株価(PER約22〜23倍)と比べても、特に割高感はありません。

違い2:企業の「稼ぐ力」と「株主還元」

バブル期と今とでは、企業そのものの体質が大きく異なります。

  • コーポレートガバナンス改革: 近年、企業は「稼いだ利益を株主にしっかり還元しよう」という意識(株主還元)を強めています。
  • 配当や自社株買いの増加: 増配や自社株買いが積極的に行われており、これが株価の長期的な下支えになっています。

今注目の投資テーマ「高市トレード」とは?

現在、市場では「サナエノミクス」の政策から恩恵を受けそうな分野、通称「高市トレード」に注目が集まっています。

  • 防衛・航空宇宙: 防衛費増額の恩恵(例:三菱重工業、川崎重工業)
  • エネルギー安全保障: 原発再稼働や新設への期待(例:関西電力、日立製作所)
  • 戦略的産業(造船・海運): 経済安全保障の観点(例:名村造船所、日本郵船)
  • インフラ・国土強靭化: 公共事業の拡大(例:鹿島建設)
  • 金融: 「資産運用立国」構想による市場活性化(例:野村ホールディングス)

今後の見通しと投資戦略

では、日経平均5万円は「天井」なのでしょうか、それとも「通過点」なのでしょうか。

強気シナリオ:5万円は「通過点」

今後も上昇が続く可能性は十分にあります。

  1. 政策の実行: 「サナエノミクス」が公約通り実行されれば、企業業績がさらに伸び、株価を押し上げます。
  2. 業績の伸びしろ: アナリストは2026年度も企業業績が成長すると予測しており、年末の目標株価を「52,000円」に引き上げる証券会社も出ています。
  3. 「日本株は割安」の解消: これまで「ジャパン・ディスカウント」と呼ばれてきた日本株の割安感が解消されれば、米国並みのPERまで買われる余地があります。

注意すべきリスク(逆風)

もちろん、リスクもあります。

  • 短期的な過熱感: 急ピッチで上昇したため、いったん利益を確定しようとする「利益確定売り」が出る可能性があります。
  • 金融政策の変更: 日本銀行や米国FRBが予想外に金融引き締め(利上げなど)に動けば、市場が冷え込む恐れがあります。
  • 期待が「失望」に変わる: 「サナエノミクス」が期待倒れに終われば、株価は大きく下落する可能性があります。

個人投資家はどう動くべきか

こうした状況を踏まえ、以下のような戦略が考えられます。

  1. 中長期的な視点を持つ: 今回の上昇は、日本株の構造的な再評価の始まりである可能性があります。短期的な上下に一喜一憂せず、長期的な視点で構えましょう。
  2. 政策関連テーマに注目: 「高市トレード」のように、国の政策によって長期的に成長が見込める分野への投資は有効です。
  3. 調整(下落)は「買い増し」の好機: 長期的には強気でも、短期的な調整(下落)は必ずあります。そうした局面は、パニックになって売るのではなく、むしろ優良な株を買い増すチャンスと捉える戦略もあります。

まとめ

日経平均5万円という歴史的な水準は、1989年のバブルとは異なり、好調な企業業績と構造的な変化(ガバナンス改革)、そして政策への強い期待に支えられています。

短期的には価格変動(ボラティリティ)が大きくなる可能性もありますが、これは日本株が「新たな時代」に入ったサインかもしれません。今後の政策動向や企業業績を注意深く見守っていく必要があります。

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