2026年2月19日、日本の株式市場で「エネルギー・重電関連銘柄」が歴史的な騰勢を見せました。特に日立製作所(6501)や日本製鋼所(5631)の株価上昇は顕著であり、投資家の間では「原子力産業の完全復活」を予感させる動きとなっています。
この背景には、同日朝にNHKが報じた「日米戦略的投資イニシアティブ」における次世代型原子炉の建設をめぐる具体的な検討進展があります。本記事では、なぜ今これらの銘柄が買われているのか、そして次世代原子炉が日本の産業構造をどう変えるのか、多角的に分析します。
1. 市場を揺るがした「NHK報道」と株価の反応
2026年2月19日午前6時5分、NHKは日米両政府が「日米戦略的投資イニシアティブ」に基づき、米国への投資案件第2弾として次世代型原子炉の建設を柱とする具体的な検討に入ったと報じました。

主要銘柄の騰落状況(2026年2月19日)
| 銘柄名 | 証券コード | 特徴・動向 |
|---|---|---|
| 日立製作所 | 6501 | 一時5,028円まで続伸。SMR開発の主導権を評価。 |
| 日本製鋼所 | 5631 | 年初来高値を更新。終値9,904円と大台目前。 |
| 岡野バルブ製造 | 6492 | ストップ高。2009年以来の1万円台を記録。 |
| 三菱重工業 | 7011 | 次世代革新炉の共同開発テーマで堅調に推移。 |
この広範な物色は、日本の原子力サプライチェーンが「成長セクター」へと再定義されたことを明確に示しています。
2. 日米戦略的投資イニシアティブ第2弾の核心
今回の株価急騰のトリガーとなったのは、総額5,500億ドル(約84兆円)規模に及ぶ巨額の枠組みです。
なぜ「次世代原子炉」が選ばれたのか?
第1弾プロジェクト(人工ダイヤモンド、原油輸出、ガス火力)に続き、第2弾で次世代原子炉が浮上した最大の理由は、AIデータセンターの爆発的な普及による電力需要の急増です。

カーボンニュートラルを維持しつつ、24時間安定した電力を供給できる「ベースロード電源」として、安全性を飛躍的に高めた次世代革新炉が日米双方にとって不可欠な存在となったのです。
3. 日立製作所:SMR「BWRX-300」による世界戦略
日立製作所が本命銘柄として買われている最大の理由は、同社が推進する小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」が、世界で最も実用化に近い技術の一つである点です。
BWRX-300の3つの強み
- 受動的安全システム: 電気や人の操作なしに、重力や自然対流で冷却を継続。
- 徹底した工期短縮: 工場製造・現地組み立ての「モジュール工法」により、建設コストを抑制。
- 実績の継承: 既存の軽水炉技術を転用しているため、規制当局の認証を受けやすい。
すでにカナダや英国、ポーランドでプロジェクトが進展しており、今回の「日米合意」により米国市場での本格採用が現実味を帯びてきました。

4. 日本製鋼所:代替不可能な「技術の堀(MOAT)」
日立が設計を担う一方で、物理的な製造における「世界のボトルネック」を握っているのが日本製鋼所です。
14,000トンプレス機がもたらす独占力
原子炉の心臓部である「圧力容器」には、継ぎ目のない巨大な鋼鉄部材が必要です。日本製鋼所の室蘭製作所が保有する14,000トンプレス機と、それを用いた一体成形技術は世界市場で圧倒的なシェアを誇ります。
SMRは従来の大型炉よりも基数が増えるため、高付加価値部材の需要密度が飛躍的に高まります。これが「日本製鋼所モーメンタム」と呼ばれる株価上昇の強力な裏付けとなっています。
5. 今後の展望:AI時代のエネルギー安全保障
高市政権が進める「責任ある積極財政」と、次世代革新炉の開発・建設は、日本の新たな成長戦略の柱です。

投資家が注目すべき3つのポイント
- データセンター電力需要の爆発: 省エネが進んでもなお、AIが消費する電力は増加し続けます。
- サプライチェーンの再評価: バルブ最大手の岡野バルブ製造など、中小型株への波及効果に注目。
- 核融合(フュージョンエネルギー)への期待: 次世代軽水炉の先にある核融合発電への官民投資も、長期的な材料となります。
まとめ
2026年2月19日の市場動向は、日本の重工業が「過去の遺産」から「未来の地政学的武器」へと変貌したことを象徴しています。日立製作所や日本製鋼所が持つ技術は、今やグローバルなエネルギー安全保障を担保するインフラの要です。
今後、具体的な契約規模や建設地点が明らかになるにつれ、関連企業の業績貢献はより鮮明になるでしょう。
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本記事は情報の提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断でお願いいたします。