2026年2月6日の東京株式市場で、味の素の株価が一時、前日比+484円(+13.39%)高の4,099円まで続伸しました。

この急騰の背景には、前日に発表された「2026年3月期(今期)の連結純利益予想の大幅な上方修正」があります。本記事では、なぜ味の素がこれほどまでに市場から評価されたのか、その要因を分かりやすく解説します。

1. 純利益が前期比85%増の1,300億円へ!驚愕の上方修正
味の素は2月5日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が、前回予想から100億円引き上げられ、1,300億円(前期比85.0%増)になる見通しだと発表しました。
売上高は下方修正されたものの、利益面での大幅な伸びがサプライズとなり、買い注文が殺到しました。
第3四半期時点での進捗状況
- 事業利益:修正後予想に対して80.7%と好調な推移。
- 純利益:進捗率は69.0%。第4四半期に予定されている「大きな利益計上」が鍵を握っています。
2. 株価を押し上げた「3つの主要因」
今回の株価続伸を支えたのは、単なる利益増だけではありません。以下の3つの戦略的要因が投資家にポジティブに受け止められました。
① 本社ビル売却による「406億円」の特別利益
最も大きなインパクトを与えたのが、東京都中央区京橋にある本社ビルの売却です。

- 売却益:約406億円を第4四半期に計上予定。
- 戦略的意義:保有資産を圧縮して資本効率を高める「アセットライト戦略」の一環です。得られた資金は、将来の成長投資や株主還元に充てられることが期待されています。
② 生成AI需要が牽引する半導体材料「ABF」
本業の「ヘルスケア等セグメント」が極めて好調です。特に、半導体パッケージ用絶縁材料である味の素ビルドアップフィルム®(ABF)が収益を強力に支えています。
- 成長の背景:生成AI向けサーバーやデータセンター需要の爆発的拡大。
- 実績:第1〜第3四半期の売上高は前年同期比で111%と二桁成長を記録。
③ 積極的な株主還元:大幅な「増配」を発表
業績好調に伴い、配当予想も上方修正されました。

- 年間配当:前回予想の82円から95円へ引き上げ(前期は76円)。
- 自己株買い:すでに第3四半期累計で約1,093億円の自己株式取得を実施しており、株主を重視する姿勢が鮮明になっています。
3. セグメント別の事業動向:利益の質が向上
売上高が微減する中で利益が増えているのは、不採算事業の整理と高付加価値化が進んでいるためです。
| セグメント | 現状と対策 |
|---|---|
| 調味料・食品 | 原材料高に対し、コーヒーや調味料の価格改定(値上げ)を浸透させ、利益率を改善。 |
| ヘルスケア等 | 半導体材料の好調に加え、不採算だった受託製造事業(アルテア社)の売却が完了し、利益率が劇的に回復。 |
| 冷凍食品 | 北米は好調なものの国内は苦戦。ブランド刷新や「ギョーザ」への集中投資で立て直しを図る。 |
4. 今後の展望と投資家へのメッセージ
市場アナリストの多くは、味の素を「単なる食品メーカー」ではなく、バイオ・先端材料のハイテク企業として再評価し始めています。

注目すべきリスクと期待
- リスク:地政学リスクによる原料高、国内の消費停滞。
- 期待:2030年に向けた「ASV経営」による構造改革の加速、次世代素材の開発。
現在の目標株価コンセンサスは4,177円前後となっており、さらなる上昇を見込む声も根強くあります。
まとめ:味の素は「稼ぐ力」の変革に成功
今回の株価続伸は、一時的なビル売却益だけでなく、AI関連材料という成長の柱を確立し、資本効率(ROE)を意識した経営にシフトしたことが正当に評価された結果と言えます。
日本の製造業における「高付加価値化」の成功モデルとして、今後の味の素の動きからも目が離せません。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終決定はご自身の判断で行ってください。