2026年度の税制改正に向け、NISA(少額投資非課税制度)の対象年齢を18歳未満に拡大する検討が進んでいます。
これまで「ジュニアNISA」の終了により空白となっていた未成年者の資産形成支援が、より使いやすい形で復活する見込みです。
本記事では、子育て世代の資産形成を強力に後押しするこの新制度案について、現時点で判明している重要ポイントを分かりやすく解説します。
2026年開始予定「未成年NISA(仮称)」の3つの核心
結論から言うと、この改正案は「旧ジュニアNISAのデメリットを解消し、成人の新NISAとシームレスに統合したもの」と言えます。特に重要なポイントは以下の3点です。

1. 0歳から利用可能!対象年齢の撤廃
現行の新NISAは18歳以上が対象ですが、改正案では0歳から17歳の未成年者も利用できるようになります。これにより、生まれた直後から親が子供名義で資産運用を開始し、成人後もそのまま継続することが可能になります。
2. 年間投資枠は「つみたて枠」のみで120万円
未成年口座で利用できるのは「つみたて投資枠」に限定される方向です。
- 利用可能枠:つみたて投資枠(年間120万円)
- 利用不可:成長投資枠(個別株などは対象外)
年間120万円(月額10万円)という設定は、児童手当の拡充分や贈与税の基礎控除(110万円)を意識した水準となっており、教育資金形成には十分な規模です。

3. 「払い出し制限」の完全撤廃
旧ジュニアNISAで最大のネックだった「18歳までの引き出し制限」が撤廃される見通しです。
これにより、大学費用だけでなく、中学・高校の学費や留学費用、緊急時の資金としても柔軟に活用できるようになり、使い勝手が劇的に向上します。
旧ジュニアNISA vs 2026年新制度 比較表
かつてのジュニアNISAと比べて何が変わるのか、ひと目で分かる比較表を作成しました。
| 項目 | 旧ジュニアNISA (~2023) | 2026年 新制度案 |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 0~17歳 | 0~17歳 |
| 年間投資上限 | 80万円 | 120万円 (1.5倍に拡大) |
| 投資対象 | 株・投信など | つみたて枠対象商品のみ (長期分散投資へ誘導) |
| 非課税期間 | 5年 | 無期限 (成人後も継続) |
| 18歳までの引出 | 原則不可 (制限あり) | 制限なし (いつでも換金可) |
| 生涯投資枠 | 独自枠 | 1,800万円 (成人後の枠を前借り) |
最大の進化は「非課税期間の無期限化」と「いつでも引き出せる流動性」です。これにより、単なる教育資金作りだけでなく、子供の生涯にわたる資産形成の基盤作りが可能になります。

注意点:生涯非課税枠(1,800万円)の共有について
この制度で最も誤解しやすいのが「1,800万円の枠」の扱いです。
- 誤解:「子供時代に1,800万円、大人になってから新たに1,800万円使える」
- 正解:「一生涯で使える1,800万円の枠を、0歳から使い始めることができる」
つまり、未成年のうちに利用した枠は、将来その子が成人した際に使う新NISAの生涯投資枠(1,800万円)の内数としてカウントされます。
いわば「将来の非課税枠の前借り」ですが、複利効果を最大化するために早期から枠を埋め始めることは、合理的な戦略と言えます。
子育て世代はどう動くべき?推奨アクションプラン
制度開始は2026年ですが、今から準備できることや考え方を整理しておきましょう。

戦略1:まずは「親のNISA枠」を最優先
管理の手間や贈与税のリスクを考えると、基本的には親のNISA枠(夫婦で最大3,600万円)を埋めることを優先しましょう。親名義であれば、教育費に使わなかった場合に老後資金へ転用するのもスムーズです。
戦略2:資金に余裕があるなら「子供名義」で相続対策
親の枠が埋まっている、あるいは祖父母からの資金援助がある場合は、この新制度が強力な武器になります。
- 暦年贈与の活用:年間110万円以内の贈与なら非課税。新制度の枠(120万円)とほぼリンクするため、相続税対策としての資金移転にも有効です。
戦略3:商品は「全世界株式」が王道
運用期間が15年〜20年と長期になるため、インフレに負けない株式ファンド(オルカンなど)での運用が推奨されます。
まとめ:資産運用立国への大きな一歩
2026年の改正案は、まさに「全世代型NISA」の完成形とも言える内容です。
特に「0歳から始められ、途中で引き出すこともでき、大人になっても非課税で持ち続けられる」という柔軟性は、子育て世代にとって最強のツールとなり得ます。
詳細な制度設計は2025年末の税制改正大綱で決定される予定ですが、今のうちから家計を見直し、2026年のスタートダッシュに向けた準備を進めておきましょう。
※本記事は2025年12月時点の検討状況に基づく解説です。正式決定後の情報は必ず金融庁公式サイト等でご確認ください。
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