2026年2月16日の東京株式市場で、家具・インテリア最大手のニトリホールディングス(ニトリHD)の株価が記録的な上昇を見せました。
前週末比で307円(10.03%)高の3,365円まで買われ、2025年5月以来、約9カ月ぶりの高値を更新しています。

一見すると「3%の減益」というネガティブな数字に見える今回の決算。しかし、なぜ市場はこれを強気で捉え、株価を押し上げたのでしょうか。本記事では、その裏側にある3つの決定的な要因を詳しく紐解きます。
1. 「減益」がポジティブサプライズに?市場予想を上回る底力
2月13日に発表された2025年4〜12月期(第3四半期累計)の連結営業利益は、前年同期比3.3%減の1,044億9400万円でした。
しかし、株価が急騰した最大の理由は、この数字が市場コンセンサス(予測平均)を上回ったことにあります。

決算の主要データ(2025年4月〜12月期)
| 項目 | 実績値 | 前年同期比 | 市場の評価 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 6,885億300万円 | 2.5% 減 | ほぼ想定通り |
| 営業利益 | 1,044億9400万円 | 3.3% 減 | 予想より良好 |
| 通期営業利益予想 | 1,358億円 | 15.4% 増 | 据え置き |
投資家の多くは、急激な円安による輸入コスト増で「もっと利益が削られる」と見ていました。蓋を開けてみれば、利益の落ち込みを最小限に抑え、1,000億円の大台を維持したことが「ニトリの経営は極めて堅実である」という信頼感に繋がりました。
2. 商品改革の成功:売れるSKUへの入れ替えが進展
財務指標以上に評価されたのが、ニトリが以前から掲げていた商品改革(SKUの刷新)の進捗です。

ニトリHDは、消費者のニーズに合わせて商品ラインナップを大胆に入れ替える戦略をとっています。
- 刷新されたSKUの比率: 計画の21%に対し、実績は23%と先行。
- 新商品の売上貢献: 刷新された23%の商品が、全売上の24%を稼ぎ出しています。
「新しく投入した商品が、全体の平均以上に売れている」というデータは、同社のマーチャンダイジング(商品計画)能力が依然として業界トップクラスであることを証明しています。
3. 緻密な為替管理とコストコントロール
海外生産比率が高いニトリにとって、円安は最大の敵です。しかし、同社は高度な為替ヘッジによってリスクを最小化しています。
- 想定レート: 1ドル=147円65銭で予約(ヘッジ)済み。
- 影響: 急激な為替変動に左右されず、将来の利益を見通せる(予見可能性が高い)ことが、投資家の安心感を誘いました。
また、国内市場では既存店売上高が堅調に推移しています。前年の「1,000店舗達成記念祭」の反動で一時的にマイナスに見える局面もありましたが、累計では全店ベースで前年比101.6%と着実に成長しています。
今後の展望:アジア進出と筋肉質な組織への変革
ニトリHDの成長シナリオは、国内からアジア市場へと移っています。

- アジア展開の加速: 中国大陸100店舗、台湾68店舗など、海外店舗数は213店舗に到達。
- 生産性の向上: 2026年春の採用数を大幅に削減。これは「成長の鈍化」ではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)や自動化による少数精鋭・高収益体制への移行と市場は見ています。
- 株主還元の強化: 年間配当を2円増配の154円とする方針を示し、投資家への配慮も忘れていません。
まとめ:投資家は「ニトリの変革力」を評価した
今回の株価10%急騰は、単なるリバウンドではありません。
厳しい外部環境(円安・原材料高)にあっても、自ら商品を磨き、コストを管理し、新たな市場を切り拓くSPA(製造物流小売)モデルの完成度が改めて評価された形です。
今後、2026年3月期の通期営業利益目標である1,358億円の達成が現実味を帯びてくれば、株価はさらなる高値を目指す可能性を秘めています。
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