2025年12月、子育て世帯にとって大きなニュースが飛び込んできました。2026年春から、公立小学校の給食費が無償化されることについて、自民・公明・維新の3党が合意しました。

「本当に無料になるの?」「対象は?」
といった疑問から、ニュースで話題になっている「実質国負担」という少し複雑な仕組み、そして東京都などが抱える課題まで、分かりやすく解説します。
決定事項のポイント:いつから?いくらもらえる?
まずは、今回決定した内容の基本ポイントを整理しましょう。
制度の概要
- 開始時期: 2026年春(令和8年度)から
- 対象: 全国の公立小学校に通う児童
- 支援額: 児童1人あたり月額5,200円
- 所得制限: なし(全世帯が対象)
これまで自治体によってバラバラだった給食費の負担が、国の制度として統一されることになります。保護者にとっては、年間約5〜6万円の負担軽減となるため、非常に大きな家計支援と言えます。
なぜ「5,200円」なのか?
この金額は、文部科学省の調査による給食食材費の全国平均(約4,700円)に、将来の物価上昇分(約500円)を上乗せして算出されました。
つまり、「平均的な給食費なら全額カバーできる金額」設定になっています。
なぜ今、無償化が決まったのか?
今回の合意の背景には、昨今の政治的な動きが大きく関係しています。

- 「103万円の壁」対策とのセット自民・公明両党が、国民民主党や日本維新の会の協力を得るための「経済対策パッケージ」の一環として決定されました。
- 日本維新の会の強い要望「教育の完全無償化」を掲げる維新の会が、予算編成の条件として強く求めた経緯があります。
- 地域間格差(給食費ガチャ)の解消すでに約30%の自治体が独自に無償化を行っている一方で、財政力のない自治体では有料のままという「住む場所による不公平」が問題視されていました。
【図解】財源はどこから?「実質国負担」のカラクリ
ニュースで「国が実質的に全額負担」と言われていますが、そのお金の流れは少し複雑です。ここが今回の制度の肝となる部分です。
当初の「折半案」は却下
最初は「国と都道府県で半分ずつ出そう」という案でしたが、全国知事会が「給食は市町村の事業なのに、県に負担させるのはおかしい(もらい事故だ)」と猛反発しました。
採用された「地方交付税」スキーム
そこで、以下のような仕組みで決着しました。
- 国が半分出す: 国が費用の50%を補助金として出します。
- 県が半分出す(一時立て替え): 残りの50%を都道府県がいったん支出します。
- 国が県に補填する: 県が出したお金は、あとで国から「地方交付税」という形で県に戻されます。
結果として、都道府県の懐は痛まず、実質的には国のお金(国費+交付税)で賄われるという仕組みになりました。
東京都民は要注意?「不交付団体」のパラドックス
この仕組みには一つ、大きな落とし穴があります。それは「東京都」のような財政豊かな自治体(不交付団体)の場合です。

- 一般的な県: 出したお金が「交付税」で戻ってくる。
- 東京都など: もともと国から交付税をもらっていないため、戻ってくるお金がない。
つまり、東京都などは「給食費の半分を自腹で負担しなければならない」可能性があります。
小池都知事や特別区長会は「国の責任で行うべきプロジェクトなのに、不公平だ」と反発しており、今後どのような調整が行われるか注目が必要です。
私たちへのメリットと今後の課題
メリット
- 家計負担の大幅減: 子ども1人あたり年間約6万円が浮くことになります。
- 集金の手間がなくなる: 学校現場では、給食費の徴収や未納対応という重い業務から解放され、教育に専念できます。
- 未納問題の解消: 経済的な理由での未納や、それに伴う子どもの心理的負担がなくなります。
懸念点・課題
- 「5,200円の壁」と給食の質物価が高い地域や、こだわりの食材を使っている自治体では、5,200円では足りない可能性があります。その場合、「質を落とす」か「自治体が自腹で補填するか」の二択を迫られます。
- 中学校はどうなる?今回の合意は「小学校」のみです。中学校(給食費は月6,000円程度)に上がった途端に負担が復活することになり、「中学生の壁」と言われています。
- お弁当持参・アレルギー対応アレルギー等でお弁当を持参している子への支援(代替給付)がどうなるか、詳細なルール作りが待たれます。
まとめ
2026年春からの小学校給食無償化は、子育て世帯にとって間違いなく朗報です。しかし、その裏側には複雑な財政調整や、地域によって対応が分かれる可能性も残されています。

ここがポイント!
- 開始: 2026年4月予定
- 金額: 児童1人あたり月5,200円補助
- 注意点: 住んでいる自治体(特に東京都など)や、中学校への拡大時期など、今後の詳細決定に引き続き注目が必要です。