【緊急解説】全東信の破産で資金繰りに悩む事業者へ。経産省の支援策と取るべき対応策

【緊急解説】全東信の破産で資金繰りに悩む事業者へ。経産省の支援策と取るべき対応策

クレジットカード決済代行大手である株式会社「全東信」(大阪市)が大阪地裁から破産手続開始の決定を受けたことで、契約する多くの飲食店や中小企業において、クレジットカード売上などの未入金リスクが深刻化しています。

負債総額は約1,259億円規模に上り、連鎖倒産を懸念する声が高まるなか、経済産業省は資金繰りに苦しむ事業者を救済するための緊急支援策を発表しました。赤沢亮正経産相は記者会見にて、事業継続に影響が出ないよう万全を期す姿勢を強調しています。

本記事では、影響を受けた経営者が直ちに取るべき対応策や、国が用意したセーフティネット制度の活用方法、具体的な手続きの流れについて詳しく解説します。

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全東信の破産による連鎖倒産リスクと経産省の対応方針

飲食店などの多くは、日々の売上をクレジットカード決済代行会社経由で受け取っています。「全東信」の破産により、本来振り込まれるはずの売上金が長期間滞留し、家賃や従業員の給与、仕入先への支払いに支障をきたす事業者が急増する恐れがあります。

この事態を重く見た経済産業省は、影響を受ける中小企業・小規模事業者を対象とした4本柱の緊急支援策を打ち出しました。具体的には、特別相談窓口の設置、セーフティネット貸付の要件緩和、セーフティネット保証1号の事前相談開始、そして既存借入金の返済条件緩和の要請です。経営者はこれらの制度を正しく理解し、自社の状況に合った支援を迅速に活用することが求められます。

全国に設置された特別相談窓口の活用

今回の事態を受け、全国の政府系金融機関などに特別相談窓口が設置されました。対象となる主な窓口は以下の通りです。

  • 日本政策金融公庫
  • 沖縄振興開発金融公庫
  • 商工組合中央金庫(商工中金
  • 各都道府県の信用保証協会

窓口では、売上金の未回収による当面の資金繰り不安や、今後の運転資金の確保に向けた融資相談を無料で受け付けています。相談に赴く際は、自社の被害状況(全東信に対する未回収の売掛金残高)や、直近の資金繰り表、決算書などを持参すると、より具体的で迅速なアドバイスを受けることが可能です。まずは自社の現状を包み隠さず伝え、プロの視点から打開策を提案してもらうことが第一歩となります。

セーフティネット貸付の要件緩和とメリット

日本政策金融公庫などが実施している「セーフティネット貸付」は、社会的・経済的環境の変化により一時的に業況が悪化しているものの、中長期的には回復が見込まれる中小企業を支援する融資制度です。

今回の破産事案を受け、経産省はこの貸付の対象要件を緩和し、「全東信」の破産によって資金繰りに影響を受ける事業者へと支援の枠を広げました。この制度を利用することで、通常の融資よりも柔軟な審査基準で運転資金を調達できる可能性が高まります。

また、一定の据置期間(元本返済を行わず利息のみを支払う期間)を設けることも可能なため、直近のキャッシュフローが急速に悪化している事業者にとって、迅速な資金確保と資金繰り安定化の有効な手段となります。

セーフティネット保証1号の仕組みと申請手続きの流れ

大型倒産が発生した際、そのあおりを受けて連鎖倒産するのを防ぐための切り札となるのが「セーフティネット保証1号」です。一般の信用保証枠とは完全に別枠で、信用保証協会が融資額の100%を保証するため、民間金融機関からの借入が極めて容易になります。

認定基準と対象者

本制度を利用するためには、対象となる指定事業者(今回は全東信)に対して一定以上の取引があることが条件となります。具体的には以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 指定事業者に対して50万円以上の売掛金債権等を有していること
  • 指定事業者に対して50万円未満の売掛金債権等しか有していないが、同社との取引規模が全体の20%以上を占めていること

申請から融資実行までのステップ

制度を活用するための基本的な手続きは以下の流れで進行します。

  • 必要書類の準備
    売掛金が確認できる書類(売上台帳や請求書など)、直近の決算書、履歴事項全部証明書などを用意します。
  • 市区町村の窓口へ申請
    事業所を管轄する市区町村の担当窓口(商工・産業振興関連の部署など)へ書類を提出し、認定申請を行います。
  • 認定書の取得
    審査を経て、通常数日以内に市区町村から認定書が発行されます。
  • 金融機関への融資申し込み
    取得した認定書を持参し、取引のある金融機関または信用保証協会へ融資を申し込みます。保証協会の100%保証が付くため、比較的スムーズに融資が実行されます。

現在、信用保証協会では正式な官報告示に先駆けて事前相談を開始しています。手元資金に不安がある場合は、告示を待たずに早急に準備を進めることが重要です。

既存借入金の返済条件緩和による資金流出の抑制

新たな資金調達と並行して検討すべきなのが、既存の借入に対する返済負担の軽減です。経済産業省は金融機関に対して、今回の事案で影響を受けた事業者からの返済猶予(条件変更やリスケジュール)の申し出に対し、柔軟かつ迅速に対応するよう要請しています。

毎月の元本返済を一時的にストップ、あるいは減額するだけでも、手元のキャッシュアウトを大幅に抑えることができます。新規融資の審査には一定の時間がかかるため、当面の資金繰りを安定させるための即効性のある対策として、まずは取引のあるメインバンクの担当者に状況を説明し、返済条件の緩和を相談することをおすすめします。

事業継続に向けて経営者が今すぐ行うべきこと

決済代行会社の破産という予期せぬトラブルは、現金商売ではない飲食店や小売店にとって死活問題となります。事態を放置すればあっという間に資金ショートを引き起こすため、経営者が今すぐ行うべき初動対応は以下の3点に集約されます。

  • 被害額の正確な把握
    未回収となっている売上金がいくらあるのかを正確に算出します。
  • 資金繰り表の緊急作成
    向こう数ヶ月間の入出金予定を可視化し、いつ資金が底をつくのか(デッドライン)を明確にします。
  • 相談窓口への早期コンタクト
    デッドラインが訪れる前に、前述の特別相談窓口や取引金融機関へ連絡し、セーフティネット保証などの手続きを開始します。

国や自治体の用意した支援制度は、自ら声を上げて行動する事業者を救うためのものです。決して一人で悩みを抱え込まず、行政や金融の専門機関によるサポートをフル活用して、この難局を乗り越えましょう。

-マネーリテラシー, 金融
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