2025年7月、YouTubeは約10年続いた「急上昇」ページを段階的に廃止し、7月21日に完全に終了すると発表しました。
多くのユーザーにとって馴染み深かったこの機能の廃止は、単なるページの削除以上の大きな変化を意味します。この記事では、なぜ「急上昇」がなくなるのか、そして今後私たちは何を使ってトレンドを知り、クリエイターはどのように活動していくべきなのかを分かりやすく解説します。
なぜ「急上昇」ページは廃止されるの?

YouTubeが「急上昇」の廃止を決めた背景には、主に3つの理由があります。
1. 見ている人が減ったから
YouTube公式によると、「急上昇」ページを訪れるユーザーは過去5年間で大幅に減少しました。多くの人は、パーソナライズされた「おすすめ」フィードやショート動画から新しいコンテンツを見つけるようになり、「急上昇」の役割が薄れていました。
2. 「トレンド」の形が変わったから
かつては社会全体で話題になるような「大きな流行」がありましたが、現在はゲーム、音楽、Vlogなど、様々なコミュニティ内で生まれる無数の「マイクロトレンド」が主流です。全ジャンルをまとめた単一のリストでは、この多様な人気を正確に反映できなくなっていました。
3. 「本当に人気なの?」という批判があったから
「急上昇」には、大手メディアが優遇されているのではないか、広告主に配慮して過激なコンテンツが排除されているのではないか、といった批判が長年ありました。選出基準が不透明だったことも、ユーザーの不信感につながっていました。
今後、トレンドはどうやって見つけるの?

「急上昇」に代わる新しい機能として、主に3つの柱が用意されています。
1. YouTubeチャート
音楽、ポッドキャスト、映画の予告編など、特定のカテゴリーに特化したランキングです。広告による再生数はカウントされず、ファンの作った動画(UGC)の再生数も合算されるなど、よりオーガニックな人気が反映される透明性の高い仕組みになります。
2. 「Hype(ハイプ)」機能
中小規模クリエイターを応援するための新機能です。
視聴者が「これは伸びる!」と思った動画に「Hype」を送ることで、専用のランキングに掲載されやすくなります。チャンネル登録者が少ないクリエイターほど有利になる仕組みで、ファンの熱量が直接クリエイターの発見につながります。
3. 「インスピレーション」タブ(クリエイター向け)
YouTube Studio内にある分析ツールです。プラットフォーム全体の漠然とした流行ではなく、
自分のチャンネルの視聴者が実際に何を検索し、何に興味を持っているかをデータで確認できます。
これにより、より視聴者のニーズに合った動画制作が可能になります。
この変更による影響は?

クリエイターへの影響
これまでは「急上昇」に載ることが大きな目標の一つでしたが、
今後は自分のファンコミュニティを育て、その熱量を「Hype」などの機能を通じて可視化していく戦略が重要になります。
「インスピレーション」タブを活用し、ニッチな需要に応えることで、新たなチャンスが生まれます。
視聴者への影響
おすすめ機能により、自分の好みに合った動画に出会いやすくはなりますが、一方で興味のない分野の情報に触れる機会が減り、視野が狭まる「フィルターバブル」に陥る可能性も指摘されています。様々なジャンルのランキングが見られる「YouTubeチャート」などを活用し、意識的に新しい世界を覗いてみるのがおすすめです。
まとめ
YouTubeの「急上昇」廃止は、
プラットフォームが「みんなが見るテレビ」から「一人ひとりに最適化された専門チャンネルの集まり」へと完全に移行したこと
を象徴する出来事です。
この変化は、クリエイターと視聴者の双方に新しい関わり方を求めています。これからのYouTubeでは、自分だけの「好き」を追求し、熱量の高いコミュニティを育てることが、これまで以上に価値を持つことになるでしょう。