2025年10月、日本の投資信託市場に歴史的な動きがありました。月間の純資金流入額が1.2兆円に達し、2ヶ月連続で1兆円の大台を超えました。
日経平均株価が史上初の5万円を突破したこの月、個人投資家のマネーはどこへ向かったのでしょうか?本記事では、記録的な資金流入の背景にある「3つの要因」と、具体的な資金の流れを分かりやすく解説します。

なぜ資金流入が止まらない?市場を動かした3つのドライバー
10月の1.2兆円という巨額の資金流入は、単なるブームではなく、以下の3つの要素が重なった結果と言えます。
① 国内政治への期待(高市トレード)
新政権誕生に伴う「積極財政」への期待感が高まりました。これが国内の景気や企業収益への楽観論につながり、投資家心理を大きく後押ししました。
② 日銀の現状維持(金融政策)
日本銀行が金融緩和の継続を決定したことで、「すぐに金利が上がるのでは」という市場の警戒感が後退。投資家がリスクを取りやすい環境(リスクオン)が整いました。
③ 新NISAの定着(構造的な受け皿)
2024年から始まった新NISA制度が、個人の貯蓄を投資へ向かわせる強力な「受け皿」として完全に定着しています。毎月の積立投資が、市場のベースを支える巨大な力となっています。
日経平均5万円時代の到来と市場の熱狂
2025年10月は、日本株にとって記録づくめの月となりました。

- 日経平均株価:月末終値で52,411円に到達。
- 歴史的上昇:月間の上昇幅(円建て)は過去最大を記録。
- 活況な売買:東証プライム市場の売買代金は1日平均6兆円を超え、2022年の市場区分移行後で最大規模に。
この「5万円突破」というニュースが投資家の心理を刺激し、「乗り遅れたくない」という気持ち(FOMO)が、さらなる投資信託への資金流入を加速させました。
1.2兆円はどこへ向かったか?人気商品の傾向
巨額の資金は、すべての商品に均等に入ったわけではありません。明確な「勝ち組」が存在します。
圧倒的人気の「外国株式インデックスファンド」
資金流入の主役は、S&P500などに連動する低コストな外国株式インデックスファンドでした。新NISAの「つみたて投資枠」などを活用し、世界経済の成長を取り込もうとする動きが主流です。
「国内株式」と「バランス型」も健闘
日経平均の上昇を受けて国内株式ファンドにも資金が入ったほか、AIが運用をサポートする「ROBOPRO」のようなバランス型ファンドも根強い人気を集めました。
苦戦する「国内債券」
一方で、金利上昇による価格下落が懸念される国内債券ファンドからは、資金が流出する傾向が見られました。

まとめ:今後の注目ポイント
2025年10月の1.2兆円流入は、政治・金融政策・新NISAという3つの強力なエンジンによってもたらされました。
今後の鍵を握るのは日本銀行の動向です。市場は現在、「次の利上げ判断は2026年以降になる」と見ています。この見通しが崩れない限り、投資信託への安定的な資金流入トレンドは続くと予想されます。
※本記事は2025年10月末時点の市場データに基づき作成されています。投資は自己責任で行ってください。