【IPO】BRANU:建設DXのSaaS企業、グロース市場へ上場!【460A】

【IPO】BRANU:建設DXのSaaS企業、グロース市場へ上場!【460A】

2025年10月31日

2025年12月1日、建設業界の中小企業向けにDX支援SaaS(サービスとしてのソフトウェア)を提供するBRANU株式会社(証券コード:460A)が、東京証券取引所グロース市場に新規上場します。

この記事では、BRANUの事業内容、IPOの概要、そして投資家が注目すべき「強み」と「リスク」について、分かりやすく解説します。

BRANU株式会社とは?

BRANUは、「テクノロジーで建設業界をアップデートする」をミッションに掲げる企業です。

日本の建設業界は、その99%が中小事業者で占められていますが、多くが人手不足、高齢化、そしてIT化の遅れという深刻な課題を抱えています。

BRANUは、この巨大なニッチ市場に特化し、中小建設事業者の経営課題を丸ごと解決するための統合型ビジネスツール「CAREECON Plus(キャリコンプラス)」をSaaSモデルで提供しています。

「CAREECON Plus」の主な機能

  • マーケティング・営業支援: 新規顧客を獲得するためのウェブサイト構築やリード獲得。
  • 業務・プロジェクト管理: 現場の施工管理などを効率化するクラウドツール。
  • 採用・人事支援: 深刻な人手不足に対応する採用支援ソリューション「ninaite」。

つまり、現場の効率化だけでなく、「仕事の獲得」から「人材の確保」まで、建設業の経営そのものを支援するオールインワン・プラットフォームが強みです。

BRANU (460A) IPOの基本情報

IPOの基本的な情報は以下の通りです。

  • 証券コード: 460A
  • 上場市場: 東京証券取引所 グロース市場
  • 上場予定日: 2025年12月1日
  • 想定発行価格: 930円
  • 想定時価総額: 約41.9億円
  • 想定吸収金額: 約12.1億円(中規模)
  • 主幹事証券: みずほ証券
  • ロックアップ: 主要株主に180日間

投資の注目ポイント(強み)

BRANUへの投資を検討する上で、特に魅力的な3つのポイントを紹介します。

強み①:巨大なニッチ市場での先行者ポジション

BRANUがターゲットとする「中小建設事業者」は、日本の建設業界の99%を占める巨大な市場です。この市場は、これまでIT化の恩恵を十分に受けてこなかった「ラストフロンティア」とも言え、BRANUはここで先行者としての地位を確立しています。

強み②:利益率が急改善するSaaSモデル

同社のビジネスは、顧客が増えるほど利益率が向上するスケーラブルなSaaSモデルです。先行投資のフェーズを経て、2023年10月期に黒字転換を達成。2024年10月期には利益が倍増しており、まさに「営業レバレッジ」が効き始めた「収穫期」に入りつつあります。

強み③:2025年10月期予想ベースの「割安感」

これが最大の注目点です。

  • 2024年10月期(実績)のPER: 56.81倍(割高)
  • 2025年10月期(会社予想)のPER: 15.65倍(割安感あり)

会社が公表している2025年10月期の1株当たり利益(EPS)予想(59.44円)を達成できれば、想定発行価格930円ベースのPERは約15.7倍となります。黒字成長している他のSaaS企業(例:Arent 約18.0倍)と比較しても、魅力的な水準と評価できます。

懸念点とリスク要因

一方で、投資家が注意すべきリスクも存在します。

リスク①:高すぎる業績ハードル(最大のリスク)

前述のPER 15.7倍という評価は、あくまで「2025年10月期の業績予想を達成すれば」の話です。

その2025年10月期の利益予想は、前期比+263%(約3.6倍)という驚異的な伸び率となっています。この非常に高いハードルをクリアできなかった場合、「業績期待で買われていた」分、株価が大きく調整される「エクスキューション・リスク」を抱えています。

リスク②:創業者による株式売却

今回のIPOでは、公募(新株発行)50万株に対し、売出(既存株主の売却)が63万株となっています。

そして、この売出株式の全てが、創業者である代表取締役のものです。上場後も同氏(資産管理会社含む)が約80%の株式を保有し、180日間のロックアップもかかっていますが、創業者自身がこのタイミングで一部株式を売却するという事実は、投資家心理にネガティブな影響を与える可能性があります。

リスク③:建設市場(景気循環)への依存

顧客が中小建設業者であるため、景気が後退し、公共事業や民間投資が冷え込むと、真っ先にIT投資が削減される可能性があります。同社の成長は、国内の建設市場の動向に左右されます。

競合他社との違いは?

建設テック領域には、スパイダープラス(4192)やArent(5254)といった上場企業がいます。

  • スパイダープラス: 大手ゼネコン向け、現場の図面・写真管理に特化。
  • Arent: 大手企業向け、BIM連携など高度なDXコンサル・開発。
  • BRANU (460A): 中小企業向け、マーケティング・採用・業務管理といった「経営全体」を支援。

このように、BRANUは競合とは異なる顧客層とサービス領域で勝負しており、直接的な競合は限定的です。

まとめ:将来の「利益爆発」を信じられるか

BRANU(460A)のIPOは、「2025年10月期に予想されている急激な利益成長を、本当に達成できるのか?」という一点に尽きる、「実績で示せ(Show-me)」案件です。

もし会社予想を達成、あるいは上回る成長を見せることができれば、PER約15.7倍という株価は「割安」と再評価されるでしょう。しかし、少しでも未達に終われば、一気に「割高」と見なされるリスクもはらんでいます。

中小建設業という巨大なニッチ市場のDX化というストーリーに将来性を感じ、同社の実行能力を信じられるかどうかが、投資判断の分かれ目となりそうです。

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