「画像生成AIを試したいけど、使っているPCのグラフィックボードがNVIDIA製じゃないから…」
そんな風に諦めていたAMD Radeonユーザーの皆さんに朗報です。AMDが公式にサポートする、ローカル環境で動作する無料の生成AIツール「Amuse」が登場しました。
この記事では、Amuseとは何か、その特徴から具体的なインストール方法、基本的な使い方、さらには動画生成のような応用テクニックまで、誰でも分かるように徹底解説します。
Amuseとは?AMDユーザー待望のローカル生成AI
Amuseは、AMDがAI企業TensorStack AIと共同開発した、AMD製ハードウェアに最適化された生成AIソフトウェアです。これまで画像生成AIの世界はNVIDIAの独壇場でしたが、Amuseの登場により、Radeon GPUやRyzen AI CPUを搭載したPCで、誰でも手軽にAIによるクリエイティブな活動を始められるようになりました。

出典:https://www.gloo.digital/blog/amds-amuse-20-ai-image-generation
Amuseの3つの大きな特徴
Amuseは、他のクラウドサービスとは一線を画す明確な哲学を持っています。
- 完全プライベート:PCの中だけで画像生成が完結するため、プロンプト(指示文)や作品が外部に漏れる心配がありません。プライバシーは完全に保護されます。
- 完全無料:個人利用や小規模なビジネス(年間収益100万ドル未満)であれば、アカウント登録やサブスクリプション料金は一切不要。完全に無料で利用できます。
- オフライン動作:一度AIモデルをダウンロードしてしまえば、インターネット接続がない場所でも画像や動画を生成できます。ノートPCでの外出先での作業に最適です。
これまでAMDユーザーを悩ませてきた複雑な環境構築はもう必要ありません。Amuseは、AMDプラットフォームの性能を最大限に引き出すための、最も簡単で確実な入り口なのです。

出典:https://www.gloo.digital/blog/amds-amuse-20-ai-image-generation
Amuseの主な機能:シンプルさと高機能を両立
Amuseは、初心者から上級者まで満足できる多彩な機能を搭載しています。
初心者も安心「EZ Mode」と上級者向け「Expert Mode」
- EZ Mode(イージーモード):プロンプトを入力するだけで直感的に画像を生成できるシンプルな画面です。AI初心者でも迷うことはありません。
- Expert Mode(エキスパートモード):100種類以上のAIモデルの切り替えや、生成プロセスを細かく調整する詳細なパラメータ設定が可能。こだわり派のクリエイターも納得の機能です。
多彩な生成機能
- Text-to-Image:テキストから画像を生成する基本機能。
- Image-to-Image:元になる画像とテキストを基に、新しい画像を生成。
- Inpainting:画像の一部を修正したり、不要なものを消したりできます。
- Paint-to-Image:簡単なスケッチ(落書き)とプロンプトで、AIが本格的なイラストを仕上げてくれます。
- AI Filters:手持ちの写真に「サイバーパンク風」「水彩画風」といったスタイルを適用できます。
- XDNA™ Super Resolution:Ryzen AIに搭載されたNPUの力で、生成した画像を高速かつ高画質にアップスケーリング(高解像度化)する独自機能です。
さらに、Amuse 3.0以降では、最大6秒程度の短い動画を生成する実験的な機能も追加されており、ローカルAIの可能性を広げています。

Amuseのインストール方法:3つのステップで完了
Amuseの導入は非常に簡単です。以下の3ステップで準備が完了します。
Step 1: システム要件を確認しよう
Amuseは最新のAMDハードウェアに最適化されています。特に、AIモデルによってはVRAM(ビデオメモリ)やシステムRAMの容量が重要になります。
モデルの種類 | 推奨Radeon GPU (VRAM) | 推奨Ryzen AI CPU (システムRAM) |
---|---|---|
入門 (SD 1.5) | VRAM 6GB以上 | 16GB RAM |
標準 (SDXL, SD3) | RX 7800 XT / 7900シリーズ (16GB) | Ryzen AI 300 (32GB RAM) |
上級 (FLUX) | RX 7900シリーズ (20GB以上) | Ryzen AI MAX+ 395 (64GB RAM) |
お使いのPCスペックでどのモデルが快適に動くか、この表を目安にしてください。OSはWindows 11が推奨されています。

Step 2: 最新のグラフィックスドライバーをインストール
Amuseの性能を最大限に引き出すため、AMDの公式サイトから最新のAdrenalinドライバーをインストールしてください。バージョンによってはプレビュー版ドライバーが必要になる場合もあるため、Amuseの公式サイトで推奨バージョンを確認しましょう。
Step 3: Amuseをダウンロードしてインストール
- Amuse公式サイト (amuse-ai.com) にアクセスし、インストーラーをダウンロードします。
- ダウンロードしたファイルを実行します。難しい設定はなく、クリックしていくだけでインストールは完了します。
- 初回起動時に、ベースとなるAIモデル(数GBあります)のダウンロードが始まります。ストレージの空き容量を確保し、安定したインターネット環境で実行してください。
実践!Amuseの基本的な使い方 (EZ Mode)
インストールが完了したら、早速画像を作ってみましょう。ここでは初心者向けの「EZ Mode」での使い方を解説します。

1. テキストから画像を生成する (Text-to-Image)
- Amuseを起動し、「Generate」タブを開きます。
- テキストボックスに、作りたい画像のイメージを英語で入力します。(例:
A photorealistic cat wearing a samurai helmet
) - 画像の向き(正方形、横長、縦長)と品質(高速、バランス、高品質)を選択します。
- 「Generate」ボタンをクリック!数秒〜数十秒で画像が生成されます。
2. 写真をおしゃれに加工する (AI Filters)
- 「AI Filters」タブに切り替えます。
- 加工したい写真をウィンドウにドラッグ&ドロップします。
- 適用したいスタイルを英語で入力します。(例:
cyberpunk style
,watercolor painting
) - 「Generate」ボタンを押すと、写真が指示した通りのスタイルに変換されます。
3. スケッチからイラストを生成する (Paint-to-Image)
- 「Design」タブを開きます。
- 左のキャンバスに、マウスで簡単な絵を描きます。
- 右のテキストボックスに、その絵をどんなイラストにしたいか指示を入力します。(例:
Orange cat in a galaxy
) - 「Generate」ボタンをクリックすると、あなたのスケッチがAIによって素晴らしいイラストに生まれ変わります。

まとめ:AmuseはAMDユーザーのAI体験を加速させる最高のツール

Amuseは、これまでAI分野で肩身の狭い思いをしてきたAMDユーザーにとって、まさに「待望の」ツールです。
- AI初心者・AMDファンの方:複雑な設定なしで、すぐに最高のパフォーマンスを体験できるAmuseは、AI画像生成を始めるのに最適な選択肢です。
- AI上級者の方:より自由度の高いツール(ComfyUIなど)と比較すると、モデルの追加や機能面で制約はありますが、「AMDハードウェアで確実に動く」という安心感と手軽さは大きな魅力です。
Amuseは、面倒な設定から解放され、純粋にクリエイティブな活動に集中させてくれます。AMDのPCを持っているなら、試さない手はありません。ぜひこの機会にAmuseをインストールして、AIがもたらす無限の創造性の世界に飛び込んでみてください!