「毎日のように繰り返される定型業務をもっと効率化したい…」
「複数のSaaSを連携させて、もっと便利な仕組みを作りたい…」
そんな悩みを解決するのが「ワークフロー自動化ツール」です。そして今、特に技術者やスタートアップ界隈で大きな注目を集めているのが、今回ご紹介する「n8n(エヌ・エイト・エヌ)」です。
この記事では、「n8nって何?」「ZapierやMakeと何が違うの?」という疑問に答えるため、n8nの基本から具体的な活用法、そして他のツールとの比較まで、分かりやすく徹底解説します。

n8nとは?一言でいうと「オープンソースのワークフロー自動化ツール」
n8nは、様々なアプリケーション、データベース、APIを連携させ、一連の作業(ワークフロー)を自動化するためのツールです。
一番の特徴は、プログラミングの知識がなくても、まるでデジタルのレゴブロックのように、機能を持った「ノード」と呼ばれるブロックを線で繋いでいくだけで、直感的に自動化の仕組みを構築できる点です。
例えば、「Gmailで特定の件名のメールを受信したら、その添付ファイルをGoogle Driveに保存し、Slackに通知する」といった一連の流れを、視覚的に作成できます。
n8nが選ばれる3つの大きな理由

n8nが他のツールと一線を画し、多くの開発者や企業に選ばれているのには、明確な理由があります。
1. 圧倒的な自由度とコントロール(セルフホスト可能)
多くの自動化ツールがクラウドサービスとして提供される中、n8nは**自分のサーバーにインストールして運用(セルフホスト)**できます。これは最大のメリットの一つです。
- データ主権の確保:顧客情報などの機密データを外部のサーバーに置くことなく、自社の管理下で安全に扱えます。
- コスト削減:大量のワークフローを実行する場合、クラウドプランの従量課金を気にする必要がなく、サーバー費用だけで済みます。
- 制限からの解放:クラウドプランにあるような実行回数やワークフロー数の制限を気にせず、自由に利用できます。
2. ノーコードの壁を超える拡張性(コードも書ける)
n8nはノーコードツールですが、それだけではありません。複雑なデータ加工や、標準機能だけでは実現できない処理が必要な場合、「コードノード」を使ってJavaScriptやPythonのコードを直接記述できます。
これにより、単純な連携だけでなく、高度で複雑なバックエンド処理もn8n上で実現可能になります。まさに「ノーコード」と「プロコード」のいいとこ取りをした、ローコードプラットフォームなのです。
3. 複雑なワークフローでも安心の料金体系
n8nのクラウド版の料金体系は、多くの競合が採用する「タスク数」や「操作数」ではなく、「ワークフローの実行回数」に基づいています。
これは、1回の実行に100個のステップ(ノード)があっても、1回の実行としてカウントされることを意味します。そのため、データ処理が多く複雑なワークフローを構築する場合、競合ツールよりも大幅にコストを抑えられる可能性があります。

n8n vs Zapier vs Make.com 徹底比較
ワークフロー自動化ツールといえば、https://www.google.com/search?q=Zapier%E3%82%84Make.comが有名です。n8nはこれらのツールとどう違うのでしょうか?それぞれの特徴を比較してみましょう。
機能/側面 | n8n | Make.com | Zapier |
---|---|---|---|
ターゲット層 | 技術者、開発者 | パワーユーザー、マーケター | 非技術者、ビジネスユーザー |
ホスティング | クラウド / セルフホスト | クラウドのみ | クラウドのみ |
料金モデル | ワークフロー実行ごと | 操作ごと | タスクごと |
カスタマイズ性 | 非常に高い(コード記述可) | 高い(ビジュアル重視) | 限定的 |
連携アプリ数 | 1,000+ | 1,000+ | 6,000+ |
最適な用途 | 複雑なバックエンド処理、AI連携、データ機密性が高い業務 | 視覚的に複雑なデータ操作 | シンプルで迅速なSaaS間連携 |
- Zapierは、シンプルさと圧倒的な連携アプリ数が魅力。手軽に始めたい非技術者の方に最適です。
- Make.comは、視覚的な分かりやすさで複雑なフローも作りやすいのが特徴。パワーユーザーに向いています。
- n8nは、セルフホストによる自由度とコードによる拡張性が強み。技術者や、より高度で柔軟な自動化を求めるユーザーに最適な選択肢です。
n8nはどんな人におすすめ?
上記の比較を踏まえると、n8nは特に以下のような方々におすすめです。
- 開発者・技術者:API連携やデータ処理を伴うバックエンド業務を効率化したい方。
- データプライバシーを重視する企業:個人情報や機密データを自社インフラで管理したい組織。
- コストを抑えたいスタートアップ:大量の自動化を低コストで実現したいチーム。
- 既存ツールに限界を感じているパワーユーザー:より複雑で自由な自動化を構築したい方。
n8nの始め方
n8nを始めるには、主に2つの方法があります。

手軽に試すなら「n8n Cloud」
n8n社が提供する公式のクラウドサービスです。サーバーの準備やメンテナンスは一切不要で、サインアップ後すぐに利用を開始できます。無料プランもあるので、まずn8nがどんなものか試してみたい方に最適です。
本格的に使うなら「セルフホスト」
Dockerという技術を使うのが一般的です。少し技術的な知識が必要になりますが、VPS(仮想プライベートサーバー)などを契約すれば、月々数ドルから自分だけのn8n環境を構築できます。コストや機能の制限を気にせず、n8nのポテンシャルを最大限に引き出せます。
n8nでできること(具体的な活用事例)
n8nで実現できることは無限大ですが、ここではいくつかの具体的な活用事例をご紹介します。
- マーケティング業務の自動化:Webフォームからの問い合わせをCRMに登録し、担当者にSlackで通知、サンクスメールを自動送信する。
- 日々の情報収集を効率化:特定のキーワードを含むニュース記事やRSSフィードを収集し、AI(ChatGPTなど)で要約してNotionにまとめる。
- ECサイトの運営を自動化:ECサイト(Shopifyなど)で注文が入ったら、在庫データベースを更新し、発送管理システムにデータを連携する。
- AIチャットボットの構築:LINEやWebサイトに、自社の商品情報やFAQを学習させたAIチャットボットを設置し、24時間365日の顧客対応を実現する。
まとめ:n8nはあなたの「やりたいこと」を諦めさせないツール

n8nは、単なる作業効率化ツールではありません。
- セルフホストによる完全なデータコントロール
- コード記述による無限の拡張性
- 複雑な処理にも強い、コスト効率の高い料金体系
これらの特徴により、これまで「セキュリティやコストの都合で無理だ」と諦めていた高度な自動化や、「既存のツールでは機能が足りない」と感じていた複雑なアイデアを実現可能にします。
もしあなたが業務の自動化に少しでも興味があるなら、まずは無料のCloudプランやデスクトップアプリから、n8nのパワフルな世界を体験してみてください。きっと、あなたのビジネスや日々の業務に革命をもたらすはずです。