前回のStability Matrix完全ガイドの好評を受けて、中級編となります!
セットアップや使い方などを知りたい方は下記をチェック!
画像生成AI「Stable Diffusion」のUIとして、その自由度の高さからプロフェッショナルに支持されるComfyUI。
しかし、そのノードベースのインターフェースは、初心者から中級者へステップアップする際の壁にもなり得ます。
この記事では、基本的な使い方をマスターしたあなたが、さらに一歩進んだ画像生成を行うための中級者向けテクニックを網羅的に解説します。複数のControlNetの組み合わせ、IPAdapterによるキャラクター固定、高画質化ワークフローまで、具体的なノード構成を交えながら、あなたの創造性を解放するヒントを提供します。

制作環境を最適化する必須ツール
複雑なワークフローを効率的に管理することが、中級者への第一歩です。まずは、制作環境を劇的に改善する必須ツールを導入しましょう。
ComfyUI Manager:カスタムノード管理の決定版

ComfyUIのポテンシャルを最大限に引き出すには「ComfyUI Manager」の導入が不可欠です。これは、無数に存在するカスタムノードやモデルの管理を自動化するツールです。
- 主な機能:
- 不足ノードの自動インストール: 他の人が共有しているワークフロー(画像やJSONファイル)を読み込んだ際に、自分の環境にないカスタムノードをワンクリックで導入できます。
- カスタムノード・モデルの検索: UI内から直接、新しい機能やモデルを探してインストールできます。
- 一括アップデート: ComfyUI本体と、インストール済みの全カスタムノードを常に最新の状態に保ちます。
ComfyUI/custom_nodes/
ディレクトリにgit cloneするだけで簡単にインストールできます。
Efficiency Nodes:スパゲッティ状態を解消

ワークフローが複雑になると、ノードとワイヤーが絡み合う「スパゲッティ現象」に悩まされます。「Efficiency Nodes」は、複数の基本ノード(モデル読込、プロンプト設定など)を一つのノードに集約し、ワークフローを劇的に簡素化します。これにより、見た目がすっきりするだけでなく、制作の論理的な流れに集中できます。
複数のControlNetで構図を完全制御する
プロンプトだけでは難しい精密な構図制御は、ControlNetの組み合わせによって実現します。ComfyUIのモジュール構造は、この多重制御に最適です。
ControlNetを連鎖させる基本ワークフロー
ComfyUIでは、あるApply ControlNet
ノードの出力を、次のノードの入力に繋ぐだけで、簡単に制御を連鎖させることができます。
実践例:ポーズ(OpenPose)と服装のディテール(Lineart)を両立させる
- ControlNet (OpenPose):
Apply ControlNet
ノードで、キャラクターのポーズを制御します。 - ControlNet (Lineart): 1の出力を受け取り、さらに線画(Lineart)モデルで服装や顔のディテールを制御します。
- KSampler: 両方の制御が適用された
CONDITIONING
を使って画像を生成します。
この際、各Apply ControlNet
ノードのstrength
(強度)を調整し、効果のバランスを取ることが重要です。
領域別制御:1枚の絵で異なる指示を出す
さらに高度なテクニックとして、画像の特定領域にのみ異なるControlNetを適用する「領域別制御」があります。例えば、「左の人物はOpenPoseで、右の乗り物はScribbleで」といった複雑なシーンを、それぞれの参照画像を用意することで構築できます。
キャラクターの顔とスタイルを一貫させる
同じキャラクターを異なるシチュエーションで生成する「キャラクターの一貫性」は、多くのクリエイターの課題です。IPAdapterとLoRAを組み合わせることで、この問題を解決に導きます。
IPAdapter FaceID:顔の特徴を忠実に再現

IPAdapterは、参照画像の特徴を生成画像に転写する技術です。特に顔の固定に特化した「IPAdapter FaceID」モデル(IPAdapter FaceID Plus V2
が推奨)は、参照画像の顔を驚くほど忠実に再現します。
成功の鍵は、正面を向いた鮮明な顔写真をリファレンスとして使うことです。
最強の組み合わせ:IPAdapter + LoRA + ControlNet

最も堅牢なキャラクター一貫性を実現するには、以下の3つの技術をレイヤー化して組み合わせるのが効果的です。
- 骨格 (ControlNet): OpenPoseでキャラクターのポーズを決定。
- 顔 (IPAdapter FaceID): キャラクターの顔画像をリファレンスに、アイデンティティを固定。
- スタイル (LoRA): キャラクター固有の服装や画風をLoRAで補強・調整。
この「パワー・トリオ」ワークフローにより、顔の一貫性を保ちながら、ポーズや服装を自由に変更することが可能になります。
生成画像をプロ品質に仕上げる
生成した画像をさらに磨き上げる後処理(リファインメント)技術は、作品の完成度を左右します。

ComfyUI版「Hires. Fix」:2パス方式による高解像度化
ComfyUIでは、「Hires. Fix」のプロセスを自分で構築します。これにより、より細かい制御が可能になります。
- Pass 1: 通常の解像度(例: 1024x1024)でベース画像を生成。
- Latent Upscale: 生成された潜在空間(Latent)を
Latent Upscale
ノードで拡大。 - Pass 2: 拡大されたLatentを、低い
denoise
値(例: 0.3-0.5)で再度KSamplerに通し、ディテールを描き込ませる。
この2パス方式により、単なるアップスケールよりも遥かに高品質な結果が得られます。
FaceDetailer:顔の崩れを自動修正
高解像度化の際などに発生しがちな顔のディテールの崩れは、「Impact Pack」に含まれる「FaceDetailer」ノードで解決できます。これは画像内の顔を自動検出し、その部分だけを綺麗に再生成してくれる非常に強力なツールです。高画質化ワークフローの最終段に組み込むことを強く推奨します。

まとめ:ComfyUI中級者へのロードマップ
ComfyUIを中級者として使いこなすとは、以下の技術を自在に操れる状態を指します。
- 環境構築:
ComfyUI Manager
でカスタムノードを自在に管理できる。 - 構図制御: 複数の
ControlNet
を連鎖・調整し、意図した通りの構図を作れる。 - キャラ固定:
IPAdapter FaceID
とLoRA
を組み合わせ、キャラクターの一貫性を維持できる。 - 品質向上: 2パス方式のアップスケールと
FaceDetailer
で、作品をプロ品質に仕上げられる。
本記事で紹介したテクニックを一つずつ試し、自分だけの最強のワークフローを構築してみてください。ComfyUIの真の力は、あなたのアイデアを形にするための無限の組み合わせの中にあります。